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アイリーン・バーカー博士がフランスの改正「反カルト法」に警鐘を鳴らす

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 2024年49日に改正されたフランスの「反カルト法」の問題点については、既にこのコーナーで6回にわたって解説した。

 イタリアの宗教社会学者マッシモ・イントロヴィニエ氏が主宰する人権と宗教の自由に関するウェブニュース媒体「Bitter Winterに、この法律に関するアイリーン・バーカー博士の批判的な記事が掲載された。

 バーカー博士は、統一教会が「洗脳」や「マインド・コントロール」を行っているという疑惑を緻密な社会学的調査によって明確に否定した著書『ムーニーの成り立ち』(1984年)で有名だが、この論文の中でも統一教会の事例が紹介されている。

 この記事は長文のため、重要なポイントに絞って紹介したい。

 バーカー博士が統一教会に対する調査を行うことになった原因は、1970年代の「反カルト運動」と、彼らが行っていた「ディプログラミング」と呼ばれる強制改宗にあった。

 1970年代には、「洗脳」という概念がメディアや「反カルト」組織、そして心配する親たちによって広められていた。

 親たちは、彼らの(成人した)子供たちがどうして奇妙なグループに入ってしまったのか、理解に苦しんでいた。
 親たちは、彼らの子供たちが「洗脳」されており、従って「被害者」たちは自分では抜け出せないのだという説明を聞かされた。

 その結果、何百人という親たちがプロの「ディプログラマー」に大金を支払って、信者を違法に拉致して「救出」していたのである。

 この事態に直面したバーカー博士は、もし信者たちが「洗脳」されていないのであれば、彼らの信教の自由は守られるべきであるが、もしディプログラマーたちが主張するように、ある種の抵抗不能なテクニックを受けているのであれば、何らかの対処が必要であると考えた。
 しかしその救出は、自称ディプログラマーではなく、特別に訓練された専門家によって助けられるべきだと考えた。

 そこでバーカー博士は、統一教会の信者たちは自由意志によって改宗を選択しているのか、それとも運動によって自由に選択する能力を事実上奪われているのかを徹底的に調査した。

 その結果、彼女が追跡調査した1000人以上の修練会参加者のうち、90%が教会に入会しなかったし、入会した者の過半数がその後2年以内に離れていたという事実から、精神操作は不可能であることを発見したのである。

 結論としてバーカー博士は、フランスの改正「反カルト法」は民主的な社会としてのフランスにとって、深刻な脅威となり得ると警告している。

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