2024.07.18 12:00
ほぼ5分で読める勝共理論 38
中国問題②
中華民国と中華人民共和国
編集部編
二つの「中国」?
皆さんは、第2次世界大戦で日本が戦った相手をご存じでしょうか。
もちろん、ほとんどはアメリカと戦ったのですが、正確にいうと、日本が戦った相手は連合国です。
連合国はたくさんの国の集まりなのですが、その中心はアメリカ、イギリス、フランス、中国、ソ連の5カ国でした。
この5カ国が後に、国連の常任理事国になったのです。
そして実は、この時の「中国」と、今の「中国」とは違う国です。
場所は同じなのですが、政権や国の在り方が全く違います。皆さんはこのことをご存じだったでしょうか。
例えば、日本は中国と戦争をしたことがあります。
1937年に始まった日中戦争です。これは厳密に言うと、大日本帝国と中華民国という国の戦争でした。
中華民国は、1912年にできた国です。
それまで中国には清という王朝があったのですが、中華民国はこの清を倒してできた共和制の国です。
ちなみに共和制というのは、王様のいない国のことです。日本は天皇がいるので君主制です。
つまり中国では、清の皇帝、いわゆるラストエンペラーの王朝を倒して、中華民国ができたということです。
「台湾」とは?
そして第2次世界大戦が終わると、中国では本格的な内戦が始まりました。
毛沢東率いる中国共産党が、蒋介石率いる政府軍に対してクーデターを起こしたのです。毛沢東は日本軍から最新兵器を手に入れて、あるいはソ連からの援助を受けて、このクーデターを成功させてしまいました。
では、蒋介石はどうなったのかというと、彼らは海を渡って台湾に逃げていきました。そしてそのまま、台湾を中華民国にしました。
もう少し厳密に言うと、「台湾」というのは国の名前ではありません。あの縦長の大きな島の名前が台湾です。つまり蒋介石らが台湾という島に逃げ込んで、そこに中華民国の政府を移したわけです。
ですから、台湾は国の名前ではありません。国の名前は中華民国です。
こうして中国大陸では、蒋介石らを追い出したことで、中国共産党が完全に支配しました。そして1949年に中華人民共和国をつくりました。
こうしてみると、中国を場所だけで考えると、中国大陸にできた中華人民共和国という国が中国です。
しかし中華民国という政府が中国であると考えると、台湾に逃げて行った方が本当の中国です。かなり複雑な問題ですね。
では、今はどうなっているのかというと、中華人民共和国の方が圧倒的に力が強いので、一般的にはこちらが中国になっています。
そしてその中国は、「台湾は国ではない」と言っています。「国ではないのに国だと勝手に言っている」というのです。
ですから日本も中国と国交を結んだ以上、台湾とは国交を結べません。それで、台湾には日本の大使館がありません。その代わりに、日本台湾交流協会という連絡機関が設置されています。
これから中国について話をするときは、基本的に中華人民共和国のことを指すと考えてください。
そしてその中国は、厳密に言うと日本が日中戦争で戦った国ではありません。別に戦争責任があるとかないとかいう話ではありません。でも本来は、国連の常任理事国に入るべきなのは中華人民共和国ではなく中華民国だったのではないか、ということです。
中国とはどういう国なのか、少し理解していただけたのではないでしょうか。
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