2024.07.10 17:00
天一国主人に育む「神様コーチング」27
「五感」を活用して可能性を引き出す
ナビゲーター:阿部 美樹
「実際体験」と「イメージ体験」の可能性
心情を引き出すためには、過去に経験した「喜びの実際体験」と未来の理想を描く「喜びのイメージ体験」を活用することについて、前回説明しました。
過去の体験であったとしても、その時の感動や喜びの場面を思い出したり、言葉で表現したりしていくと、脳は現在のことのように味わうことができます。
一方、未来の願いがかなった楽しい姿、うれしい姿、感動の姿をイメージとして思い描くと、脳は現在のことのように捉える傾向があります。
脳の働きを見ると、過去・現在・未来の時間の区別をせずに、全て「今」のこととして捉える特性があるからです。
また、脳は実際の体験だけでなく、イメージの体験を通してでも同じようにプログラムを作ることが可能です。
無限の可能性を求めるアスリートたちも、肉体の限界に挑戦する過酷なトレーニングだけでなく、未来の理想的な姿を思い描く「イメージトレーニング」を繰り返すことがあります。
このように、「未来体験リハーサル」をすれば、能力が確実に引き出されるのも事実です。
実際の体験は、「自分自身」「他者」「環境」という三つの要素から成り立ちますが、いずれもコントロールするのが難しく、簡単に実現することはできません。
一方、イメージの体験は、頭の中のスクリーンに自由にその世界を創り出すことが可能です。融通性があり、無限のバリエーションがあります。
しかし実際の体験に比べてイメージの体験は、インパクトが弱いものです。
イメージの体験によってプログラムを作るためには、強度を高める必要があります。それは、「五感を全て使うこと」と「繰り返すこと」で可能になります。
「VAK の質問」でイメージを豊かにする
「五感」とは、視覚・聴覚・味覚・触覚・臭覚ですが、それを三つにまとめて「VAK」(Visual「視覚」、Auditory「聴覚」、Kinesthetic「身体感覚」)と表現することもできます。
例えば、「大勢の人の前でスピーチを成功させたい」という願いを持っている人がいたとしましょう。
その人に「VAK」を引き出す質問をすると次のようになります。
「集まってくれた聴衆は何人ぐらいですか?」「もし願いどおりスピーチができていたら、会場はどんな雰囲気になるでしょうか?」「スピーチをよく受け止めてくれたら、聴衆はどんな表情になるでしょうか?」などの視覚化(V)する質問をすると、イメージで見えてきます。
次に、「スピーチがうまくできている自分の声はどのように聞こえますか?」「スピーチを受け止めてくれた聴衆は、スピーチの後にどんな拍手をしていますか?」という聴覚化(A)する質問をすると、聞こえてきます。
また、「うまくスピーチができている自分の気持ちはどうですか?」「会場の熱気や盛り上がる手応えをどのように感じますか?」などの身体感覚化(K)する質問をすると、体感することができることでしょう。
このように、細かい質問をしていくとイメージが鮮明になり、強いインパクトのある体験としてプログラムが出来上がります。
このイメージを何度も繰り返し思い出すうちに、心に定着していきます。
まるで、武道を学ぶ時に「型」を繰り返し練習すると、「頭」ではなく「身体」で武道を覚えるようになり、考えなくても自然に身に付いていく姿と同じです。
このように、「何が見えますか?」「何が聞こえますか?」「何を感じますか?」という質問を活用して、イメージを引き出していきましょう。
【関連情報】