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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

平壌での金正恩・プーチン会談の意味

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、617日から23日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 南シナ海で日米加比が演習、対中国で結束強調(617日)。北朝鮮兵数十人がまた軍事境界線を一時侵犯(18日)。東南アジア初、タイが同性婚合法化へ(18日)。露朝の首脳会談開催、戦略条約署名へ(19日)。韓国のウクライナへの武器供与示唆にロシアのプーチン大統領が警告(20日)。米空母が韓国に入港、露朝をけん制へ(22日)。ロシア南部(ダゲスタン共和国)2カ所で教会や警察襲撃~警官15人死亡、テロと見て捜査(23日)、などです。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記とプーチン大統領が619日、平壌で「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名しました。
 両国関係を「同盟」に近い水準に引き上げる合意文書であるとの触れ込みです。

 条約のポイントは以下のとおりです。

◇いずれかが武力侵攻を受けて戦争状態に陥った場合、国連憲章51条や露朝の法に準じ、遅滞なく、あらゆる手段で軍事的な援助などを提供する。

武力侵略の直接的な脅威が生じた場合、遅延なく交渉する。

多極化した新しい世界秩序の確立を目指す政策の実現に協力する。

平和と安全を保障する防衛協力を強化する目的で共同措置を取るための制度を創設する、などです。

 この条約による両国関係を「軍事同盟」と見るべきかの議論はまだ集約されていません。

 金正恩氏は「同盟関係という高い水準に引き上げられた」と発言しましたが、プーチン氏は「真のブレイクスルー(現状突破)の文書」と述べただけです。

 内容は、ソ連と北朝鮮が1961年に締結した友好協力相互援助条約の1条に酷似しています。
 そこには、有事の際「直ちにその有する全ての手段をもって軍事的およびその他の援助を供給する」と記されていました。

 この条約が発効されれば、ロシアはこれを根拠に、北朝鮮に戦争への貢献を求め続ける可能性があり、継戦能力を欧米に見せつけ戦況を有利に進める上で北朝鮮を利用することができます。

 一方北朝鮮には、朝鮮半島へのロシアの軍事支援をちらつかせ、韓国や米国を威嚇する思惑があると思われます。

 さらに、自国の軍事技術の進展にも役立ちます。10条には宇宙や原子力などの科学技術協力が明記されました。
 偵察衛星開発の基礎になり得るほか、原子力支援は核兵器の増産への道を開くことになる可能性もあります。

 金正恩氏にとっては、プーチン氏の訪朝というイベントと新たな条約締結は、現体制維持にとって必要だったのでしょう。

 これまで、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩体制を支える三本柱(「配給制度」「洗脳教育」「恐怖政治」)があるといわれてきましたが、そのいずれもが崩れつつあるといわれているのです。

 プーチン氏は、苦悩する金正恩氏を、新条約で米主導の既存の国際秩序を壊す外交戦略に組み込みました。

 今後、イランや中国などとユーラシアを横断する反米の枢軸が形成されれば、ウクライナだけでなく朝鮮半島もその最前線となる危険性があることを念頭に置く必要があります。

 東アジアで高まる露朝蜜月の脅威に、国際社会は結束して備える必要がありますが、北朝鮮の体制危機も同時進行しているという事実も想定して対応する必要があるのです。



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