https://www.kogensha.jp/news_app/detail.php?id=22576

ほぼ5分で読める勝共理論 34
「唯物史観」は何を主張しているのか

編集部編

 唯物論は歴史の理論です。
 簡単に言うと、「歴史には目的や法則性がある」という理論です。しかもそれは、人間の意志ではなく、物質的な法則に基づいているのだ、と言っています。

 では、それはいったいどんな理論なのでしょうか。

 筆者が共産主義者として、「唯物史観は正しい」という立場で説明してみましょう。

 まず、人類歴史は「原始共産制」という社会形態から始まりました。日本では縄文時代までの時代です。
 当時の人々は動物を捕まえたり、木の実を拾ったりして生活をしていました。そのための道具はみんなで共有します。誰かのものではありません。

 財産といえば食べ物ぐらいですが、食べ物を保存しても腐ってしまうので、皆で食べ尽くすしかありません。
 ですから当時の社会には、個人の財産はありませんでした。貧富の差がなくて、みんなが平等でした。だから争いもありませんでした。

 ところが、生産力が向上すると、社会の在り方が変わってきました。
 簡単に言うと、農業の技術の発展です。

 例えば、スキやクワの性能が良くなったり、高床式倉庫ができたりしました。それでお米を蓄えられるようになったのです。
 当時はお金がありませんでしたから、お米が最高の財産です。

 財産を持つ者は力を得ました。そして力を持つ者が力ずくで良い土地を手に入れました。

 そして力のない者は奴隷になりました。こうして財産が生まれ、貧富の差が生まれたことで、支配者と被支配者という支配構造が生まれました。

 支配者は、奴隷の反乱を抑えるため、あるいは国を大きくするために軍隊を持ちました。
 そして自ら王と名乗りました。こうしてできたのが国家です。

 王は自分を神様としてあがめさせ、そのための宗教もつくりました。芸術もつくりました。文学もつくりました。

 当時の社会を「奴隷制社会」といいます。エジプトのピラミッドの時代などをイメージするといいでしょう。

 やがて、生産力がさらに向上すると、奴隷制度が逆に発展の妨げになってきました。
 労働者が奴隷のままでは効率が悪過ぎます。技術も発展しません。奴隷制度が時代に合わなくなってきたというわけです。

 それで、体が成長して服が小さくなったら新しい大きな服へと変えるように、社会は次の時代に発展しました。
 「生産力の向上」という物質的な変化によって、人間の意志とは関係なく社会が発展したというわけです。

 具体的には、奴隷による革命が起きました。被支配者による反乱です。これは唯物弁証法の、卵とひよこの例えと同じ話です。

 そして、革命によって解放された奴隷たちは、次は農民になりました。地主によって雇われる小作農です。
 こうして土地を持つ地主と、土地を持たない農民による社会が生まれましたが、これを「封建制社会」といいます。
 日本では鎌倉時代から江戸時代までを指します。

 そしてさらに生産力が発展すると、やはり封建制社会が発展の弊害になりました。
 農民は都市に出ていって工場の労働者になろうとします。でも地主たちがそれを許しません。それで農民による一揆や革命が起きました。
 こうして封建制社会も倒れ、次に資本主義社会が誕生しました。

 農民たちは、今度は工場の労働者になりました。そして資本家は、王や支配者と結託して大金持ちになりました。労働者は搾取されました。これが資本主義社会です。

 ですから資本主義社会で生産力がさらに向上すれば、やがて限界を迎えます。そして労働者が立ち上がり、革命が起きます。それが歴史の法則です。
 こうして次に現れるのが「社会主義社会」です。

 社会主義社会では、歴史上初めて、労働者による国ができます。
 これまでの人類歴史では、国は全て支配者のためのものでした。これが労働者のための国になる、ということです。

 実際には、労働者全員で国を動かすことはできないので、労働者の代表である共産党が国家を運営します。
 これを実際に行ったのが、ソ連や中国などの社会主義国家でした。

 そして世界中で資本主義国家がなくなれば、いよいよ世界は「共産主義社会」となります。
 もう国は必要ありません。地球上から支配者が誰一人としていなくなります。

 人々は完全に自由です。一人一人が主人公です。喜んで労働ができて、みんなが豊かになります。これが歴史の法則であり、目的です。

 いかがでしょうか。

 これが唯物史観の簡単な説明です。人類歴史は人間の意志によってではなく、生産力の発展という物質的な変化によって流れてきました。そして最終的には共産主義に到達します。

 この理論の何が間違っているのか、それは次回、説明します。

【関連書籍】

◆『よくわかる勝共理論~日本と世界の平和のために~』(光言社)

▲詳細はこちらをタップ