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共産主義の新しいカタチ 16

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

宗教的倫理性に「心の自由の砦」を発見
独社民党と第2インター③

 マルクス没後、有力な後継者の1人だったはずのエドワルト・ベルンシュタインは、スイス、英国と亡命生活を送る中で「社会民主主義」、いわゆる「修正主義」に傾いていきます。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』でマックス・ウェーバーが幾度もベルンシュタインの論文を引用したことが象徴的です。

▲マックス・ウェーバー(ウィキペディアより)

 そのベルンシュタインの論文とは、英国のピューリタン革命とフランスの2月革命とは全く性格が異なる点を指摘したことで、「宗教」や「信仰」のもつ「自由の深淵」に触れたためと結論づけることができます。これに関するA・D・リンゼイのピューリタニズム分析は後述します。

「修正主義」の烙印押されたベルンシュタイン
 さて、英国からのベルンシュタインの報告を社民党急進派のローザ・ルクセンブルクは「英国の眼鏡をかけ世界を見ている」と批判、そうした見解が党の大勢を占め、1903年のドレスデンでの党大会でベーベル、カウツキー、ローザ・ルクセンブルクらの激しい非難により、ベルンシュタインの「修正主義」が公式的に「異端」の烙印を押されることになったのです。

 ベルンシュタインら修正主義派の見解に対し、最も重要な反対論を展開したカール・カウツキーは、ベルンシュタインと並ぶマルクス・エンゲルスの「後継者」と見なされました。ウイーン大学に学び、1875年にオーストリア社会民主党に入党。ベルンシュタインと同様社会主義鎮圧法を避け1885年にロンドンでエンゲルスに師事。1891年に『エルフルト綱領』を起草、エンゲルス死後、第2インターナショナルの思想的代表者にして党理論誌『ノイエ・ツァイト』編集者として、30年間もマルクス主義に立つ全知識人の中心的・権威的な位置を担いました。

 ロシア革命後、ボリシェヴィキを痛烈に批判、レーニンと対立し、今では共産主義の「傍系」とされます。しかし当時は、レーニンを遙かに上回る正統派マルクス主義の中心人物で「マルクス主義の法皇」とも称されたのです。

資本主義崩壊論と帝国主義分析
 そこでベルンシュタインとカウツキーとの立場の相違に触れてみましょう。第一に、経済的観点からです。ベルンシュタインはマルクスの労働価値説に疑問を呈し、単に「思考上の公式・科学上の仮説としての妥当性」しか主張しえない机上の空論だと断じました。

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 労働価値説は、使用価値と交換価値のうち、真の価値は固有な使用価値ではなく普遍的に交換できる交換価値にあるとし、尺度を労働時間に据えます。価値は労働により生じ、そこから剰余価値(利潤)が生まれるも資本家が独占するのがマルクスの立場です。

 しかしベルンシュタインはこれに異を唱え、効用性にも価値ありと批判。

 ベルンシュタインは、急激な労働賃金上昇で「労働貴族」が形成され19世紀末に現れ出した経済的活況に、資本主義が「自己制御能力を高めつつある」と分析。マルクスの言う「資本所有の集中」はなく、所有権や資本家の数は増大するとし、「社会の発展は有産者数の相対的減少を、況や絶対的減少を示していると考えるのは全くの誤り」とマルクスを退ける結論を下します。

 対してカウツキーは、カルテル・トラストなどの現象が資本主義の自己制御能力と見なすベルンシュタインとは対照的に、「資本主義の老衰」「崩壊の兆候」とし、これに「帝国主義的分析」を加味。この分析はレーニンにより批判的に継承されます(帝国主義論)。

 第二に、社会階級の分析です。ベルンシュタインにとり階級は「生活状態の類似をもって主たる形成原理とする社会層」とし、しかも「中間階級の規模は拡大の傾向をもつ」ものです。むろん、ブルジョワ階級とプロレタリア階級との宿命的「権力闘争」を説く本来のマルクス主義にとり「新中間層」の出現は都合悪いものです。カウツキーはこの中間階級を認めつつ、最終的にプロレタリアート側で階級闘争に参加するとしました。

 また、カウツキー思想の特徴として、私的所有の観点から農民層の利害とプロレタリアートの利害とは対立する点が挙げられます。プロレタリア革命の過程では当然、小土地所有という点で農民層は消滅する運命だと見なします。これはレーニンが称賛し、革命後に土地の国有化による「国営農場・集団農場」体制という名の新たな「農奴制」を生むことになります。(続く)

「思想新聞」202451日号より

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