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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

ノルマンディー上陸作戦80年式典にゼレンスキー大統領招待

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、63日から9日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 日本に米軍「大将」配置案、米の検討判明(63日)。天安門事件35年、中国政府は改めて正当化(4日)。韓国、南北軍事合意の効力停止を決定(4日)。インド総選挙、モディ首相が勝利宣言(4日)。米政権 事実上の「国境閉鎖」宣言(4日)。韓国の脱北者団体(自由北韓運動連合)また北へ風船で体制批判のビラ散布(6日)。ノルマンディー上陸作戦80年記念式典の開催(6日)。2018年以来、韓国が対北軍事宣伝放送を再開(9日)、などです。

 第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年となる66日、記念行事がフランスで開催されました。ノルマンディーはフランス北部の地域圏です。

 ノルマンディー上陸作戦は、第2次世界大戦中最もよく知られた戦いの一つであり、ナチス・ドイツ占領下のフランス北部への上陸作戦でした。目標はフランスの解放です。

 イギリスを進発したイギリス軍、米軍を主力とする連合国軍の兵員は、作戦初日(66日)だけで約15万人、オーバーロード作戦(パリ解放までの作戦)全体で200万人が英仏海峡を渡ってノルマンディー海岸とコタンタン半島東岸に上陸したのです。

 今に至るまで「歴史上最大規模の上陸作戦」であり続けています。本作戦で用いられた用語「Dデー」は、作戦決行日のことであり、194466日を指しています。

Dデーの前日に第101空挺師団を視察するアイゼンハワー(ウィキペディアより)

 10年前のこの式典にはロシアのプーチン大統領も参加していましたが、今回はもちろん招待されず、ウクライナのゼレンスキー大統領が招待されました。

 記念式典でゼレンスキー氏は、「80年を経て欧州はもはや平和の大陸ではなくなった」と指摘。この式典の意義として、新たに「ロシアからのウクライナ解放」が付加されたといえるでしょう。

 バイデン米大統領は7日、上陸作戦で激戦地となったフランス北西部のオック岬で演説しました。
 「共に行動する時、われわれ米国の能力に勝るものはない」と述べ、米国が先頭に立ち自由・民主主義を守る決意を示しています。

 オック岬は、上陸作戦において米軍部隊が断崖をよじ登ってドイツ軍を撃退した際、部隊の半数以上が命を落とした場所です。
 バイデン氏は米兵らの献身を称賛し、「彼らは自由、民主主義を守り、外国や国内の侵略に対して立ち上がるようにわれわれに求めている。失望させないと誓う必要がある」と訴えました。

 冷戦中の1984年、当時のレーガン大統領もオック岬で演説しており、民主主義は「命を懸けて守る価値がある」と語り、自由・民主主義諸国を再団結させました。

 世界は今、新たな世界秩序の構築・挑戦を掲げる覇権的で独裁的な国家らによる脅威にさらされています。
 ロシアによるウクライナ軍事侵攻、それを支える中国、そして北朝鮮による脅威です。

 現代史において、自由と民主主義を守るために多くの犠牲がありました。それを無駄にしてはならないのです。
 ノルマンディー上陸作戦80年式典は、この認識を共有し行動を起こす契機となったと思います。



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