2024.06.04 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
台湾・頼清徳新政権、早くも正念場か
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、5月28日から6月2日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
台湾で立法院の権限強める法案通過。野党主導、頼政権に痛手(5月28日)。「日本は『一つの中国』原則を厳守すべき」、訪日した中国共産党幹部が岸田首相に求める(29日)。ロシアによる1月のウクライナ着弾。米、北朝鮮製ミサイルの使用を確認(29日)。台湾世論「一つの中国」を7割超が認めず、頼総統の中台巡る演説は7割超が支持(30日)。イギリス議会が解散、7月4日に総選挙へ(30日)。国民殺害なら米と反撃も、比大統領が中国に警告(31日)、などです。
台湾・頼清徳新政権が発足直後から厳しい「試練」を受けています。
立法院(国会に相当)の権限を強化し、頼政権の手足を縛ることを狙った野党提出の法案が5月28日、可決・成立しました。
台湾立法院は113議席です。最大野党国民党と台湾民衆党は合計60議席で、与党民進党は51議席です。野党は連携して強行採決を図ったのです。
その法律では、①年に一度、総統による立法院での情勢報告の義務付け、②当局や一般企業などに対する調査権限を拡大する、さらに③尋問を受ける人は資料提供を拒否できない、などがうたわれています。
問題は、調査や尋問の対象が一般人や民間企業にも及ぶ可能性が取り沙汰され、台湾の軍事機密や民間企業の独自技術などが外部に漏出する恐れも指摘されているのです。中国と野党が連携した場合、極めて深刻な事態が予想されます。
与党・民進党を支持する市民団体などは28日も立法院周辺で抗議集会を開きました。
主催する市民団体によれば、7万人が参加したといいます。
参加した女子大生は、「台湾の民主主義があるのは、先人が戦ってくれたから。今度は私たちが民主主義を守らなければならない」「議論なくして民主主義なし」と涙を浮かべて話していたといいます。(「読売」5月29日付)
24日にも10万人の抗議デモが行われており、今後その動きは大きくなっていくものと思われます。
抗議の声の本質は、中国習政権が対中融和的な野党勢力を利用して、台湾の政治中枢に対する影響力を拡大するのではないかということです。
「台湾を香港にしてはならない」のです。
香港は、わずか数年で自由と民主主義に基づく香港の社会制度を、異論を許さない「中国式」へと中国政府によって強引に改造されました。中国政府は今、その牙を台湾に向け始めているのです。
頼政権は今後の対応として、関連法について立法院に再審議を求めたり、憲法審査にかけたりする方法の検討を始めました。
憲法審査の内容は、中華民国憲法で「元首」と位置付けられる総統は、外交と防衛、両岸(中台)関係が専権事項で、立法院への出席義務はないとされていることとの整合性が議論されるでしょう。
繰り返します。
「台湾を香港にしてはならない」のです。
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