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ほぼ5分で読める勝共理論 32
唯物弁証法に対する批判と代案

編集部編

対立物ではなく相対物
 前回は矛盾の法則について説明しました。
 矛盾の法則とは、卵と殻と中のひよこが戦って、ひよこが勝つことで新たにひよこが誕生する、という理論でした。
 棒磁石の例もありました。そしてマルクスは、この理論で暴力革命を正当化しました。

 もちろんこの説明はでたらめです。
 まずひよこの例ですが、卵の殻が破られたくないと思っていて、中のひよこは早く出たいと思っていると言います。いったい誰がそんな意見を聞いたのでしょうか。
 もちろんその話は全てうそです。

 実際は、中のひよこが小さい時は、卵の殻が厚くなっています。中のひよこを守っているんですね。もちろんひよこは外に出たいとは思っていないでしょう。出れば死んでしまうからです。

 そして中のひよこは、卵から栄養分をもらいながら成長します。そして「もう外に出ても大丈夫だな」という頃になると、卵の殻が薄くなって、外から光が入ってきます。そして中のひよこは、卵の殻をパリンと簡単に割って出てくるのです。

 お分かりになりましたでしょうか。
 卵の殻は時には厚くなってひよこを保護し、役割を終えると簡単に割れてしまいます。つまり卵の殻と中のひよこは、「ひよこの誕生」という共通の目的に向かってそれぞれの役割を果たしているのです。
 このような存在を相対物といいます。対立物ではないのです。

 これは棒磁石でも同じです。そもそもN極とS極は反発しません。反発するのはN極とN極、S極とS極です。そしてN極とS極は、両者で磁場というものをつくります。
 皆さんは小学生の頃、棒磁石の周りに砂鉄をまいて、楕円のような形になる実験をしたことはないでしょうか。あの楕円形の線が磁場です。つまりN極とS極は、磁場を作るという共通目的をもつ相対物だということです。対立物ではないのです。

唯物弁証法ではなく授受法
 人間の社会でも同じです。社会は支配者と被支配者で成り立っているのではありません。もちろんそういう側面を持つこともありますが、本来は互いに協力する存在です。

 例えば、家庭では夫婦が協力して良い家庭を築きます。企業では経営者と社員が協力して良い企業をつくります。国家では政府と国民が協力して良い国をつくります。そうならないこともありますが、本来はそうあるべきですし、自然もそういう姿で成り立っているといっていいでしょう。

 唯物弁証法の最初の部分で説明しましたが、物事には必ず主体と対象があります。
 今は、筆者が話して読者の皆さんが聞いているので、筆者が主体で読者の皆さんが対象です。違う場面では皆さんが主体で筆者が対象になることもあるでしょう。

 いずれにせよ、主体と対象が協力すれば、より大きな力で共通する目的を達成することができるようになります。これを「授受法」といいます。これが自然界の法則といっていいでしょう。

 ところが唯物弁証法では自然界には対立物が現れると言いました。そしてその闘争によって物事は発展すると言いました。
 「事物の発展は対立物の統一と闘争によってなされる」というのです。

 これはでたらめです。日本がそんなことを信じる人ばかりになったら、社会はめちゃくちゃになってしまうでしょう。実際、共産主義の国ではめちゃくちゃなことが起きています。

 もちろん発展のためには、時に相手を批判することもありますし、批判される側も謙虚に心を開いて受け入れることが大切です。でもそのことと唯物弁証法とは全く違います。似ていますが違います。
 自然界は、唯物弁証法ではなく、授受法によってこそ発展するということです。

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