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ほぼ5分で読める勝共理論 31
「唯物弁証法」とは

編集部編

唯物弁証法は暴力を正当化する理論?
 前回は、ヘーゲルの弁証法について説明しました。
 ヘーゲルの弁証法は、「正、反、合という三段階で物事は発展する、そして、神に近づいていく」という理論でしたね。

 マルクスはこの理論を利用しました。
 しかしマルクスが作ったのは、神のいない世界を実現するための理論です。そしてその中心は「暴力の正当化」でした。
 どんなものか、具体的に見てみましょう。

 唯物弁証法にはいくつかの理論があるのですが、ここでは「矛盾の法則」というものを紹介します。「対立物の統一と闘争の法則」ともいいます。
 まず、鶏の卵をイメージしてみてください。

 卵の中には小さなひよこが入っています。そしてそのひよこは早く外の世界に出たいと思っています。
 ところがひよこは力が弱いので、殻を破ることができません。卵がひよこの自由を支配しているというわけです。

 そしてひよこが成長すると卵の殻を破ります。こうしてひよこが誕生します。
 マルクスは、これは「矛盾の法則」に基づいているのだと言いました。

 どういうことかというと、卵は殻を破られたくないと思い、ひよこは殻を破りたいと思っている。これが矛盾しているというわけです。
 ひよこの成長によって両者の支配関係が逆転します。そして「ひよこの誕生」という新しい段階を迎えるというわけです。

 つまり自然界では、必ず対立する存在が現れる。その対立物は支配・被支配の関係にある。初めは支配者の力が強いが、やがて立場が逆転する。そして新たな段階へと発展する。
 これが自然界の発展の法則なのだ、というわけです。

暴力革命は科学的真理に基づいている?
 他にもいくつかの例があります。
 例えば、棒磁石です。棒磁石には必ずN極とS極があります。そしてその棒磁石を半分に折ると、やはりその折れた棒磁石の両端にはN極とS極が現れます。
 こうして自然界では、常に矛盾する対立物が現れるのだ、というわけです。

 マルクスはこれを人間社会の歴史に応用しました。
 社会には支配者がいます。例えば、王様とか大統領です。この人たちがつくる社会が先ほどの例でいう卵の殻です。社会で働く労働者たちは中のひよこです。

 初めは労働者たちの力が弱くて支配されているのですが、やがて成長して、団結して、力を持つようになると、ついに卵の殻を破ります。これが暴力革命です。

 そうすると、卵の殻が割れてひよこが誕生するように、共産主義という新しい社会が誕生するというわけです。
 つまり共産主義社会をつくるための暴力は、自然科学の発展の法則にかなうものであって、許される、むしろそうすべきだというのです。

 このように、共産主義の恐ろしいところは、ただの哲学や思想ではなく、科学的であると考えているところです。
 一つの考え方ではなく、科学的な真理である、というのです。
 もちろんこの理屈は間違っています。暴力で物事が発展するはずがありません。
 ではどこが間違っているのか。それは、次回説明します。

 今回のポイントをまとめてみましょう。
 唯物弁証法というのは、共産主義思想の中の、物事の発展について説明する哲学理論です。
 唯物弁証法は単なる哲学理論ではなく、科学的であると言っています。そしてその内容は、共産主義の実現のための暴力は構わない、むしろ必要である、というものです。

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