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シリーズ・「宗教」を読み解く 316
修道院の祈り⑭
キリストのための遍歴説教者

ナビゲーター:石丸 志信

 聖ドミニクスが創設した「説教者兄弟会」(ドミニコ会)は1216年に修道会として正式認可された。
 その精神は、「観想し、観想した果実を他の人々に宣(の)べ伝えよ」という言葉によく表されている。

聖ドミニクス(ウィキペディアより)

 ドミニコ会は伝統的な観想生活を土台としながらも使徒的生活に重点を移していった。
 観想により心と精神の内に宝を蓄え、蓄えた宝を人々に分かち与えるために、「キリストのための遍歴説教者」となって人々の所に出かけていくようになった。

 福音をべ伝える遍歴において常に最小限二人一組で派遣され、初代教会の兄弟愛を実践する「共同体」として巡回した。
 この修道士たちには、観想と勉学に励み、聖職者、神学者となることが求められた。

 彼らは、この時代に西欧に起こった大学を説教と弁論の最前線として重視した。
 パリ大学にドミニコ会員の博士たちが教授職のポストを獲得することで、有能な学生を教育して指導者に育て、神学界に権勢を広げていく。
 後に、ドミニコ会の修道士の中から、教会博士に名を連ねる聖トマス・アクィナスが生まれてくる。

 ドミニコ会の修道士の特徴は、腰に「ロザリオ」と呼ばれる大きな数珠を下げていること。
 10個の数珠を一連として5連がつながり一環。数珠を繰りながら、いつでもどこでも祈ることができ、祈りのうちに福音書に記された救いの出来事を黙想することができる。

▲ロザリオ

 ロザリオの祈りは「聖母マリアに霊的なバラの冠をささげる祈り」といわれる。
 一つ一つ数珠を繰るたびに聖母マリアをたたえ、そのとりなしを願う「アヴェ・マリア」の祈りを唱えていくものだからだ。

 そして一環、50回のアヴェ・マリアの祈りを唱える間に「喜びの玄義」(受肉の神秘)を黙想する。
 それは、受胎告知から、主の降誕と少年イエスの出来事を思い起こし、救い主イエス・キリストを地上に迎えた喜びを心に刻むのだ。

 次に二環目は、「苦しみの玄義」の黙想。
 ゲツセマネの祈りに始まる主イエス・キリストの受難と死の出来事を心に描き、十字架の傍らにひざまずきイエスを見つめる聖母マリアに寄り添いながら、主の苦しみを味わい悔い改めの心を起こす。

 三環目は、「栄えの玄義」の黙想。
 主の復活、昇天、および聖霊降臨の出来事を思い起こし、主の再臨を待望しながら、その時に聖母マリアが果たす役割に目を留めていく。

 3周すればアヴェ・マリアの祈りを150回唱えることになる。
 これは、詩篇150篇を唱和したことに相当するものと受け止めてきた。

 ドミニコ会士たちは、正しい教えを広めることに力を尽くしながら、一般信徒にはロザリオの祈りを広め、誰もが、神が人類のためになされた救いのみ業を、日々瞑想(めいそう)できるよう導いた。



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