2024.05.07 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 315
修道院の祈り⑬
修道院に訪れた新たな刷新の波
ナビゲーター:石丸 志信
古代、砂漠への逃避から始まった隠遁(いんとん)生活は、殉教にも匹敵する厳格さでもって禁欲に徹しながら「キリスト者の完全」を求めた営みだった。
隠れたところでの切実なる祈りが、やがて共同体を形成し、中世キリスト教文化の柱として、ヨーロッパにおける信仰、教育、文化の基地としての役割を担っていった。
聖ベネディクトが提唱した修道院生活は、荒廃した西ヨーロッパを耕し、蛮族を教化し、人々の精神復興をもたらした。
時を経て創始者の精神を忘れかけた時には、必ず原点に回帰する刷新運動が起こり、『戒律』を規範とする修道伝統の建て直しを図った。
ところが、「12世紀ルネッサンス」とも呼ばれる大変革期には、修道院にも新たな刷新の波が訪れた。
生活の基盤は、田園から都市へと移り、都市に住む一般市民の復興が起こる。聖ベネディクトの『戒律』への回帰ではなく、より根本である福音への回帰が起こった。
人々がイエス・キリストの人間性と地上生活の出来事に多くの関心を傾け、福音書を読み、その出来事を瞑想(めいそう)する生活が始まる。
祈りに導かれて、イエス・キリストの教えを実践しようとする時、キリスト教徒にとって福音書こそが唯一の規範だということが再確認されるようになった。
この時代に生まれてきた新しいタイプが「托鉢(たくはつ)修道会」で、「小さき兄弟会」と「説教者兄弟会」がその代表格だ。
「小さき兄弟会」は、アッシジの聖フランシスコ(1181~1226)が創設したフランシスコ会で、「説教者兄弟会」はグスマンの聖ドミニクス(1170~1221)が創設したドミニコ会と呼ばれる修道会である。
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