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天一国主人に育む「神様コーチング」12
コミュニケーションの基本スキル、「ミラーリング」と「ペーシング」

ナビゲーター:阿部 美樹

「鏡を見る」ような安心感
 コミュニケーションは、不安や緊張を持った関係ではなく、安心と安全が保障された信頼関係が築かれていることが必要です。
 そのような関係を構築するための基本的なスキルを紹介します。

 第一のスキルが「ミラーリング(mirroring)」です。
 これは相手の動作に対して、鏡(ミラー)のように自分の動作を合わせることです。

 信頼し好感を持っている人がいると、その人の仕草や行動を自然にまねることがあります。
 反対に自分と似ている行動をする人に対しても、無意識に親近感を持つことがあります。

 楽しい話をしている時に相手も楽しそうに聞いてくれると心地よく感じ、悲しい話をしている時に相手も悲しそうに聞いてくれるならば、安心して話ができます。

 身ぶりや手ぶりを交えて話した時に、相手もそれに呼応するように同じ行動をしてくれるならば、気持ちを受け止めてくれるように感じることでしょう。

 脳の特徴から見ると、自分と「似たもの」を見ると「味方」と認識し、「信頼」を持ちやすくなります。
 例えば、出身地が同じだったり、趣味が同じだったり、考えていることが同じであると認識すると、「そうですか! 私も同じです!」と仲間意識を持つのと同じです。

 一方、「異なるもの」を見ると「敵」のように感じ、「信頼できない」と感じたりします。
 例えば、楽しい話をしているのに、相手が腕組みしながら無表情で聞いていると、違和感を持ってしまい、話ができなくなることでしょう。

「伴走してくれる」安心感
 第二のスキルは「ペーシング(Pacing)」です。
 これは、コミュニケーションの時に相手の望むペースに合わせることです。

 話す速度、声の大きさや高低、相づちやうなずきの頻度・タイミング、さらには相手の方言や語調に合わせることなどです。

 物事を理論的に思考するタイプの人は早口になる傾向がありますが、そのような人に対しては同じく早口で話をすると話がかみ合いやすいものです。

 一方、表情豊かに話をする情的なタイプの人はゆっくりと話すことがあります。
 その場合は、同じくゆっくりと感情を味わいながら話をした方が安心と安全を提供することができます。

 「息が合う」「あうんの呼吸」という表現があるように、呼吸を合わせるような気持ちで話をすることです。
 まさに、ペーシングしてくれる人は「伴走」してくれる味方のような存在です。

 外的なペースだけでなく、心のテンションを合わる(感情に同調する)こと、関心事や価値観に同調することも効果的です。

 人間の乳幼児期の発達において、母親が子供の仕草を模倣して共感することは、子供の情緒の安定と成長に大きな影響を与えるように、安心が伴うコミュニケーションにとって大切なことです。

 ペーシングを実践する際に心がけるべきことは、以下の3点です。

 第1点は、「自然に振る舞う」ことです。
 意図的にペーシングしていると相手に気付かれないように、ワンポイントの仕草を合わせたり、タイミングを少しずらしたりするなど、さりげなく自然に行うことです。

 第2点は、「相手を尊重する」ことです。
 ペーシングはあくまでも信頼構築の手段であり、相手をコントロールするためのものではありません。
 「相手を尊重し、関係性を大切にしたい」という思いを持って接することです。

 第3点は、「否定しない」ことです。
 否定する姿勢を感じると、警戒心や反発心につながりやすい傾向があります。
 相手の意見との相違があったとしても、一度相手の意見を受け入れて共感した上で、自分の意見を伝えるなどの配慮が必要です。

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