2024.03.05 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
ナワリヌイ氏の死はロシアをどう変えるのか
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、2月26日から3月3日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
韓国統計庁発表、韓国の出生率「超少子化」0.72に(2月28日)。プーチン氏、核戦争のリスクを西側に警告(29日)。ナワリヌイ氏の葬儀がモスクワで行われる(3月1日)。日韓「信頼重ねて歴史解決を」、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が三・一独立運動式典で訴える(1日)オランダがウクライナと2国間安保協定に署名、7カ国目(1日)。米、ガザ上空から支援物資を投下(2日)。ヘイリー氏が初勝利で一矢報いる、首都ワシントン(3日)、などです。
プーチン政権批判の急先鋒として知られ、反政権運動の指導者であり象徴的存在だったアレクセイ・ナワリヌイ氏の葬儀が3月1日、モスクワ南東部マリノ地区の教会で行われました。
独立系メディアによれば教会近くには数千人の市民が集まったといいます。そこはナワリヌイ氏がかつて住んでいた場所でした。
母親リュドミラさんの姿もあり、参列者は「彼は自分だけではなく、ロシア国民みんなのことを考えて行動して犠牲になった」「あなたは恐れなかった。われわれも恐れない」などと語っていました。
その後、教会から2.5km離れた墓地に埋葬されました。
ナワリヌイ氏は、ヤマロ・ネネツ自治管区(モスクワから約1900km離れている)の刑務所に収監されていたのですが、2月16日、突然亡くなりました。47歳でした。
ナワリヌイ氏は弁護士でした。2011年、下院選での政権与党による不正を追及し、大規模デモを主導し、知名度を高めることになります。
その後、インターネットで政権の腐敗ぶりを暴露。特にプーチン氏や政権幹部の巨額蓄財を暴露したのです。
2013年のモスクワ市長選では、プーチン大統領側近の現職に対抗して立候補しました。そこでの善戦が、後の政権側による弾圧強化につながったのです。
さらに2018年の大統領選に立候補しようとしましたが、出馬を認められませんでした。
政治的な影響力を高めていく中、2020年にはロシア国内の空港で猛毒ノビチョク系の神経剤による襲撃を受けたといわれています。
モスクワ行きの飛行機内で瀕死状態になったナワリヌイ氏はドイツ・ベルリンに輸送されました。メルケル首相らの尽力があり、ベルリンの病院で奇跡的に助かったのです。
その後2021年に、療養先のドイツからの帰国と同時に拘束されます。そして過去に受けた有罪判決の執行猶予が取り消されて、昨年末に北極圏の刑務所に移送されていたのです。そこがヤマロ・ネネツ自治管区(モスクワから約1900km離れている)の刑務所だったのです。
ナワリヌイ氏は、今年3月の大統領選に向けて、プーチン大統領以外の候補者への投票を呼びかけるキャンペーンを獄中から行っていました。
ウクライナ侵略を「狂った人物が始めた愚かな戦争」とSNSで発信。X(旧ツイッター)のフォロワーは約290万人でした。
カナダ出身のドキュメンタリー映画監督ダニエル・ロアー氏の2022年の作品に、ナワリヌイ氏を扱ったものがあります。
作品名は『ナワリヌイ』。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。
作品の中で、監督から「もし殺されるとしたら、ロシア人にどんなメッセージを残す?」と問われ、「決して諦めるな。僕らが持っている巨大な力は悪い連中に押しつぶされている。悪が勝つのは、ひとえに善人が何もしないからだ。行動をやめるな」と答えています。
ナワリヌイ氏の死・犠牲がロシアを静かに確実に変えていくことになるのでしょうか。
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