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平和の大道 68
インフラ構築が共同体構築の基

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

自律分散制御系・複雑適応系

 先回でいわゆる今の「グローバリズム」の虚構性について論じ、真のグローバリズムは、人体構造に似た構造でなければならないことを主張した。今、トランプ大統領が就任し、トランプ旋風(トランプ革命)が吹き荒れて心配する人も多いが、その本質は、自立、自律、自由、責任を持った個人、家庭、集団を構築するとともに、彼らを基盤にして国民中心の国家を再建、再生しようとする愛国、国家復興運動であり、反「グローバリズム」である。このような考え方は、自由と民主主義の国アメリカ合衆国の建国精神に叶うものであり、筆者は強い共感を覚える。

 「グローバリズム」とは、極論すれば、共産主義思想と根っこは同じで、複雑多岐にわたる多様な人間活動を数値化しやすい物や金銭価値に置き換え、一律的に一括管理しようとする思想である。最終的には人工知能を持ったスーパーコンピューターが地球と人類を一括管理するような世界が現れるようになる。この考え方は、反「自律、分散、複雑、多様」であり、自然の生態系のあり方に根本的に反し、間違った考え方である。

 人体構造はこの宇宙の生態系の縮小体であるから、人体構造を調べることが、宇宙全体の生態系の本来のあり方を解明することになる。人体を、運動面、統御面から見ると、脳(中央)だけで中央から統括管理するようなシステムではなく、各器官が多くの機能に分かれ、分散して自律的に活動をしている。構造面から見ると、実に多くの機能の異なる器官からなり、実に多種多様であり、複雑に絡み合って補完し合い、協調して多くの働きをし、内外からのいかなる変化にも、想定外の事柄にも上手く対応できるようになっていて、生命を維持している。神秘的とも言える高度な知性に満ちた人体システムの特質を分かりやすく表現すれば、自律分散制御系、複雑適応系と言うことができる。

 国際ハイウェイプロジェクトは、地球を自律分散・複雑適応系の人体構造に似た世界とすることであるから、地球(世界)を単一的な価値観や機能で統御することではなく、多くの文化、伝統、宗教、地域、民族、国家、人類、産業を、国際ハイウェイのネットワークという基幹的なインフラの持つ力により、多様性を持つそれらを、交流させ、融合させ、調和させ、統一して次元の高い新文明を創造するものである。すなわち、地球規模の高速道路網という平和と繁栄をもたらす人類文明に不可欠なインフラを基盤として、地球・人類一家族世界を創建する構想であり、今のいわゆる「グローバリズム」とは、根本から似て非なるものである。

インフラ共同体の構築

 「グローバリズム」のモデルケースと見られたEU(欧州連合)が瓦解しようとしている。これは、「グローバリズム」の共同体構築の夢、実験の失敗と言っても良い。その根本原因が、域内の国家間の格差である。ところが国力の格差は、主としてインフラの格差によって生じる。実は、インフラが社会の力、発展のレベルを決めるのである。国際ハイウェイプロジェクトにおいてこの点をはっきりと認識していなければならない。

 インフラには、ハードウェアとして、道路、鉄道、空港、港湾、電気、エネルギー供給施設、通信網、水道、各種公共施設等があり、ソフトウェアとして、政治、教育、医療、法律、福祉、社会的サービス等がある。インフラの格差のあるところに、経済の平準化はなく、公正な自由競争は成立し得ない。公正な自由競争をしようとすれば、まず、インフラの格差をなくすことから始め、次に技術を平準化し、経済を平準化するようにしていかねばならない。

 戦前のドイツは国内にアウトバーンを張り巡らせたが、今のEUEU域内にインフラの平準化のために「新アウトバーン」を張り巡らすようなことをしてきたのだろうか。域内の諸国家間のインフラの格差は歴然としている。さらに、技術や経済等の地域間、国家間格差が存在している。そのようなところに、国境を取っ払い、人、物、金、情報の自由移動がなされた。インフラの整っているドイツ、イギリス、フランスに人、物、金、情報が集まり、それらの国が発展するのは火を見るより明らかである。実際ドイツが一人勝ちをするようになっていったが、このことは少し考えれば当初から十分に予想がついた問題である。

 古代ローマ帝国は、征服した地域や同盟を結んだ地域、国に対して、真っ先にローマ街道を敷設してやり、水道網や公共施設等を作り、ローマの文明を惜しみなく与え、彼らの生活や経済がローマ本国と同じ水準になるようにした。その一方、文化、言語、風習、宗教等は干渉せず、それぞれの民族や国々に任せた。その結果、ローマ帝国の域内においては、同水準の生活がなされ、帝国内の安全保障体制が確立し、このような共生・共栄の基盤の上に、「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」が達成されたのである。

 国際ハイウェイプロジェクトは、「北東アジア共同体」を構築することを主要目標の一つとしている。したがって、共同体構築について、ローマ帝国やEUをよく研究し、参考にする必要がある。

(『友情新聞』2017年2月1日号より)

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 次回は、「今こそ日韓トンネルの強力推進を」をお届けします。


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