2024.01.09 12:00
平和の大道 67
真のグローバリズムへの道
皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!
佐藤 博文・著
去年(2016年)は、6月のイギリスのEU離脱、11月のトランプ米国大統領の当選等、一般世論やマスコミの予想外の結果になったが、この現象をどのように見るべきだろうか。
戦後70年以上にわたり、国際金融資本、多国籍企業、新自由主義者等のいわゆる「グローバリスト」によって推進され、世界を覆っていた「グローバリズム」が大きな転換を迎え、その終焉が来たということである。
ところで、国際ハイウェイプロジェクトは、「地球一家族理想世界実現」のビジョンを提唱しているが、このビジョンは現代の「グローバリズム」とは似て非なるものである。今回は、この違いと真のグローバリズム実現について論じることにする。
幻想としての「グローバリズム」
グローバリズムとは何か。一般的に、国家を超えて、地球全体を一つの共同体と見る考え方、汎地球主義のことを言う。人類の理想の一つである。
ところが現代では、多国籍企業が国境を越えて地球規模で経済活動を展開する行為や、自由貿易及び市場主義経済を地球上に拡大させる思想等を表す。訳して地球主義と言う。このグローバリズムという言葉は、「地球は一つ」であるという理想世界、ユートピアをも連想させる響きを持つ美しい言葉であるが、実際は、それとは裏腹に、それ自体が幻想であるばかりか、危険な思想が背景にあるということを知らねばならない。
その思想的背景は、「新自由主義」、「リバタリアニズム(市場原理主義)」である。この思想は、自由市場を絶対視するため、国境の壁や規制を全てなくし、人・物・資本・情報が国境を越えて、地球規模で自由に際限なく交流することを理想とする。つまり世界全体を自由競争に置くことであり、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)もその一環である。
結果として、世界的な自由競争の場で一人勝ちをするのは、国際金融業者、多国籍企業等の巨額な資本力、技術力、世界的なネットワーク等を持っているグループである。その結果、持てる者は益々豊かになり、持たない者は益々貧乏になる。今の米国を見ても、中間層が崩壊し、貧困層が増大し、ごく一部の少数の金持ちと多数の貧困層とに二極化している。上位10%が90%の富を独占しているという統計結果も出ている。世界的に見ても、上位67人が世界の富の半分以上を所有しているとも言われている。
このように今の社会は、異常な格差社会となっているのである。そしてグローバリズムの進展とともに、益々格差が拡大しており、民族、国家の解体にもつながるようになる。そして、行き着く先は、少数の金持ち階級による地球規模の独裁(寡頭)体制である。現代のグローバリズムの思想は、共産主義思想と根っこは同じである。少数の金持ちグループが富と権力を独占し、大多数の貧困大衆を支配するようになる。これが新自由主義の現実の姿である。
我々は、「グローバリズム」というきれいな言葉に騙されてはならない。米国では、一般国民(ピープル)が、グローバリズムの虚構性と幻想にようやく目覚め、大統領選でグローバリズムと戦うトランプ候補を応援したのである。
真のグローバリズム
国際ハイウェイプロジェクトの究極目的は、「人類一家族理想世界の実現」である。人類一家族世界ということは、理想世界の形態のことである。理想世界を構造的に見れば、地球が人間一人の人体構造に似ることである。
地球を一人の人間の人体構造であると見なせば、立法、行政、司法の三権は肺臓、胃腸、心臓の三臓器、政党は脊髄と神経組織、経済は四肢五体、マスコミは肉や皮膚、金融は骨、道路・鉄道は血管網に該当する。国際ハイウェイのネットワークは人体の血管網の大動脈に該当する。
人体においては、各器官は、全体は固体のため、固体は全体のために働き、完全に調和が取れている。60兆個もの細胞が見事に調和し、統一している。手、足、頭脳、内臓、皮膚等の人体の肢体や器官や臓器は、機能の分担はあるが、価値においては平等であり、全体としてお互いが為に生きる有機的関係をなしている。そこには格差や支配、被支配という関係はない。
国際ハイウェイプロジェクトは、格差を拡大し人間の自由と尊厳性を奪う現代の「グローバリズム」の弊害を根本から変革し、貧富の格差の解消、技術の平準化を実現し、「共生・共栄・共義の人類一家族理想世界」の実現を成すものであり、これこそ真のグローバリズム実現に至る道である。
(『友情新聞』2017年1月1日号より)
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次回は、「インフラ構築が共同体構築の基」をお届けします。
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