2023.12.19 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
フィンランドの大きな「覚悟」
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、12月11日から17日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
ポーランド、8年ぶり政権交代。トゥスク元首相を新首相に選出(12月11日)。習主席、6年ぶりにベトナム訪問(12日)。イスラエル「水攻め」開始、米紙報道(12日)。米下院、大統領の弾劾調査を決定(13日)。米、過去最高額125兆円超の国防権限法成立へ(14日)。米政府、台湾に3億ドル軍事装備売却を公表(15日)。フィンランド、米国との防衛協力協定締結を発表(15日)。米原潜が釜山入港、北けん制の狙い(17日)、などです。
フィンランドは75年間、旧ソ連・ロシアに対する中立政策(絶対反抗しない政策)を続けてきました。
この姿勢は冷戦下において、旧ソ連と国境を接する国々の一つの外交姿勢として「フィンランド化」と呼ばれてきました。事実上は旧ソ連の影響を強く受けることとなったのです。
しかしフィンランドは、ロシアのウクライナ侵攻後、従来の姿勢を変更し、今年4月にはNATO(北大西洋条約機構)に加盟。12月15日、フィンランドのバルトネン外相は、フィンランドに米軍が常駐する道を開く米国との防衛協力協定を18日に締結すると発表し、「覚悟」を示しました。
ロシアは猛反発し、北欧地域での米ロのせめぎ合いの激化が必至の情勢となっています。
米国との新たな協定によれば、南部のポルッカラ海軍基地や内陸部の空軍基地、北極圏のロバヤルビにある欧州最大の砲撃演習場など、国内の15の軍事施設を米軍が使用できるようになります。
その狙いは、フィンランドとロシア間で軍事衝突が起きた場合、米軍がフィンランドに迅速に展開できるようにするというものです。
新協定の下で、米軍部隊のフィンランド常駐や定期演習の実施が可能となりますが、国内に恒常的な米軍基地を置く計画はないといわれています。
協定の発効には両国(米国、フィンランド)議会の承認が必要となります。
ロシアのウクライナ侵攻は、フィンランドに強い警戒心を植え付けました。すでにNATO軍がロシアとの国境地帯に援軍や物資を迅速に送れるよう、沿岸部から国境地帯に至る鉄道インフラの強化を進めています。
さらに米国は8月、フィンランドへの多連装ロケットシステムなど総額約3億9500万ドル(約570億円)規模の売却を承認しているのです。
一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は12月15日、米国とフィンランドとの協定に関して、同国とロシアとの緊張を硬化させるとして強い「遺憾の意」を表明。「NATO軍がフィンランドに入れば、わが国にとって明白な脅威となる」と訴えました。
さらにプーチン大統領は12月17日、テレビインタビューで、今後NATOに加盟したフィンランドとの間でトラブルが起こると予告しました。
国境に近いレニングラードに新たな軍区を設け、部隊を集結させる計画も示したのです。
力の分散がロシアにとって課題を増やすことになるのは避けられません。
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