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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

日韓GSOMIAの効力発揮

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1218日から24日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含む弾道ミサイルを2日連続発射(121718日)。露大統領選、プーチン氏立候補届出(18日)。バチカン、同性カップル祝福可能(18日)。日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)に基づく軍事情報共有を開始(19日)。米中両軍トップが対話を再開(21日)。北朝鮮の軽水炉、臨界か。プルトニウム生成懸念、IAEA(国際原子力機関)(21日)。露大統領側近が暗殺に関与、米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)(22日)。米国防権限法が成立、約126兆円(22日)。露大統領が停戦交渉用意、米報道(23日)、などです。

 北朝鮮の弾道ミサイル技術が飛躍的に向上しています。
 1121日の軍事偵察衛星の打ち上げ成功がそれを立証しており、背景にあるのは明らかにロシアの技術提供です。

 危機感を抱く米韓協力関係も強化されています。
 米韓両政府は、1215日に米・国防総省で米国の核戦略計画に関する情報を共有する「核協議グループ(NCG)」の会合を開いたことを公表しました。

 会合は、今年4月に米韓首脳が設置を決めた「ワシントン宣言」に明記されているものであり、内容としては朝鮮半島有事に核攻撃作戦を実施する際のガイドライン(指針)を来年半ばまでに完成させること、有事発生時の米韓間の協議体系や、核関連情報の共有方式が盛り込まれています。

 韓国側の姿勢の大きな変化を認めるもので、「これまでは米国が判断して(北朝鮮に)報復するから安心しろというのが『核の傘』だったが、今後は韓米が初めから共に考え、準備、練習して実行することになる」(韓国政府高官)という内容です。

 これまで「核の傘」で守られてきた韓国は、米軍の核報復計画に関与できなかったのです。そして、毎年恒例の米韓合同軍事演習では、米軍の核報復攻撃を想定した訓練は行われたことはありませんでした。

 NCG会合後に発表された「合意文書」には、「いかなる核攻撃も、金正恩(キム・ジョンウン)政権の終末に帰結する」と明記されました。

 北朝鮮は強く反発しています。17日午後1037分ごろ、西岸付近から東方に向けて弾道ミサイルを発射。日本のEEZ(排他的経済水域)外の日本海に落下したと推定されています。
 これは短距離弾道ミサイルで、最高高度約50キロ、約570キロの飛行距離であったと推定されています。

 さらに北朝鮮は18日午前824分ごろ、平壌近郊から北東方向にICBM級1発を発射しました。ロフテッド軌道で、射程は米国全土を収める15000キロを超えると見られます。二日連続の発射でした。

 ICBM級の発射は712日に行った固体燃料式の「火星18」以来で15回目。「火星18」の発射は3回目となりました。
 発射準備時間が少なくて済む固体燃料方式です。

 緊張が高まる中、19日、日米韓の3カ国で、北朝鮮のミサイル関連情報を即時共有するシステムが稼働を開始しました。日韓GSOMIAが動き出したのです。
 日本は今後、北朝鮮に近い韓国のレーダー情報をミサイル発射直後に得られることとなり、迎撃能力や警報システムの精度向上につながります。

 木原防衛相は19日、記者会見で「3カ国の防衛協力に、新たな1ページを刻むものだ。相互補完関係になり、それぞれのメリットになる」とその意義を強調しています。

 ロシアとの連携を深めている北朝鮮の動向は読みにくいものがあります。しかし南北間の緊張は確実に高まり続けています。小さな動きも見逃さない姿勢が必要になってきています。



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