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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

イスラエル、ガザで最大規模の攻撃再開

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、12月4日から10日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ガザ地下網の水攻め検討と米報道(124日)。北朝鮮がスペインなど7公館を閉鎖、韓国政府が確認(5日)。露大統領、UAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビア王国を訪問(6日)。イタリアが一帯一路から離脱通知の報道(6日)。米大統領の次男 2億円脱税で起訴(7日)。プーチン氏、大統領選に出馬表明(8日)。イスラエル、ガザで最大規模の攻撃再開(8日)、などです。

 イスラエル軍は128日、ガザ地区でハマスを標的に450カ所以上を攻撃したと発表しました。1週間の休戦期間を終えた121日の戦闘再開以来、最大規模のものでした。

 攻撃は南部の主要都市ハンユニスや北部ガザ市などで行われました。
 イスラエル軍の部隊司令官はハンユニスで撮影した動画で、「トンネルの出入り口」を移動しながら戦闘を行っていると説明しました。

 最大規模の攻撃の狙いは、南部の拠点であるハンユニス中枢部を包囲し、市内に潜伏していると見なしているハマス幹部の排除とインフラの破壊です。ここに、ガザ地区指導者ヤヒヤ・シンワール氏の自宅があるとされています。
 イスラエル軍は、シンワール氏が107日の越境攻撃の首謀者だと見ているのです。

 イスラエルはハマス幹部排除部隊「ニリ」を新設しました。イスラエルの諜報(ちょうほう)機関シンベットとモサドの合作です。
 新部隊は、ガザからの越境攻撃に加わったハマス幹部や戦闘員を捕らえて排除(殺害)するための組織です。
 ニリ設立は、「ホロコースト以来の悲劇」とされるこのたびのユダヤ人虐殺への報復が目的なのです。

 一方、国際連合安全保障理事会(国連安保理)は128日、ガザで「人道的停戦」の即時実施を求める決議案の採択を行いました。しかし米国の拒否権の発動で否決されました。この決議案はアラブ首長国連邦(UAE)が提出したものです。

▲米国ニューヨークの国連本部

 グテーレス国連事務総長が、「ガザの破滅的な人道状況」を懸念して、国連安保理に即時停戦を要請したのを踏まえてのことでした。
 約100カ国が共同提案国となり、採決では安保理の理事国15カ国中、日本を含む13カ国が賛成に回りました。

 しかし米国は拒否権を発動したのです。米国の国連次席大使は反対演説で、「ハマス幹部はイスラエルへのテロ攻撃を何度でも行う」と強調しました。そして英国は棄権しました。米英は明確に、「テロは絶対容認できない」という原則を貫いているのです。



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