2023.11.28 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
北朝鮮、軍事衛星打ち上げ成功の背景
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、11月20日から26日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
イスラム諸国代表団、中国を訪問(11月20日)。北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げに成功(21日)。イスラエル政府、4日間停戦案承認(22日)。慰安婦問題で日本政府に賠償命令(23日)。台湾総統選、野党一本化実現せず(24日)。ロシア、キーウに最大規模ドローン攻撃(25日)、などです。
11月21日夜10時40分過ぎ、政府は沖縄県を対象に全国瞬時警報システム「Jアラート」を発令し、避難を呼びかけました。北朝鮮が「軍事偵察衛星」と称する「弾道ミサイル」を発射したのです。
北朝鮮は今年に入り、5月、8月と軍事偵察衛星の打ち上げに失敗していましたが、「三度目の正直」で成功したのです。
しかしこの背景を知れば知るほど、極東アジアに深刻な危機が迫っていることを感じます。
北朝鮮は2021年の党大会で、軍事偵察衛星の発射計画を公表していました。
準備を進める北に対して韓国軍合同参謀本部は11月20日、「打ち上げを即時停止するよう厳重に警告する」との声明を発表。打ち上げを強行すれば「対抗措置」を取ることを予告していたのです。
対抗措置とは2018年に南北間の軍事合意の一部条項(飛行・監視区域の設定)の停止であり、打ち上げ後、即実行されました。
韓国政府、米国政府ともに今回の成功はロシアの技術支援によると断定しています。
ロシアは今、ウクライナ戦争で「敗北しない」ことを至上命題としています。今は何よりも武器、砲弾の支援です。もはや「なりふり構わず」との印象です。
北朝鮮との急接近はそのために実現したものでした。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は今年9月、極東ロシアを訪問。13日、金正恩氏とプーチン氏は会談し、相互の協力関係強化で合意しました。北朝鮮はロシアに砲弾の供与、ロシアは北朝鮮に軍事的技術の提供・協力です。
ブリンケン米国務長官は11月9日、ソウルで韓国の朴振(パク・チン)外相と会談。ブリンケン氏は会談後、「北朝鮮からロシアへの軍需物資提供だけでなく、ロシアが北朝鮮に軍事技術を支援すると見ている」と強調し、朴氏はイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を巡り、「北朝鮮との関連を注視している」と述べたのです。
さらにブリンケン氏は、朴氏との会談の前に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と昼食を交えて会談しています。
そこで尹氏は、「北朝鮮の核問題、ウクライナ戦争、中東情勢の不安で米国のリーダーシップがより重要になっている」と懸念を述べ、ブリンケン氏は「米国の対外政策の主眼はインド太平洋地域にある」と明言したのです。
米韓両政府の危機意識は、10月7日のハマスによる対イスラエルテロがあります。ロケット砲などで奇襲・飽和攻撃、さらにパラグライダーを使用した侵攻などが、今後の朝鮮半島でも起こり得るのではないかと強い懸念を持っているのです。
北朝鮮は軍事境界線近くにソウルを狙う大量のロケット砲を準備しています。その数はハマスの比ではないのです。
米国は今、ウクライナ、イスラエル支援に力を注がざるを得ず、アジア、特に対中抑止戦略が機能するのかとの懸念が関係者に広がっています。
もし朝鮮半島南北が戦火を交えることにでもなれば、米国の対応能力を超えることになるのではないかと懸念されます。
北朝鮮の背後にはロシア、そしてそれを見守る中国が存在します。戦争の連鎖が朝鮮半島まで広がる可能性が出てきているのです。
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