2023.11.21 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
習近平氏、米中首脳会談で表舞台に
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、11月13日から19日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
ガザ地区の病院に武器庫、イスラエル発表(11月13日)。米中首脳会談(15日)。麻生氏が日米豪の結束訴え、中国が強く反発(15日)。日中首脳会談(16日)。ヒズボラ、イスラエル側8カ所攻撃(16日)。米大統領、ハマス徹底排除を主張(18日)、などです。
米中首脳会談が11月15日、サンフランシスコの近郊のウッドサイド、「ファイロリ」と呼ばれる風光明媚(めいび)な庭園内で行われました。
会談は昨年11月以来1年ぶり、4時間に及びました。
双方には内外に成果を示そうとする「狙い」があったのです。バイデン氏は大統領選を1年後に控え、支持率は低迷しています。
他方、習近平氏は深刻な経済不調下にあり、なんとか打開の糸口を見いだす希望を与えなければなりません。
しかしこの会談が両者にとって、また世界にとって、「転機」にはなりません。本格的なデタント(緊張緩和)にはならないということです。
中国による「現状変更」の試みは沈静化するどころか活発化しています。
南シナ海上空での米軍機に対する中国戦闘機による挑発、フィリピン船への物理的挑発など、いずれも過激さを増しています。
中国は、ロシア、ハマス、イランとの連携も深く、欧米中心の世界秩序に対する挑戦の主役を維持しなければならないのです。
会議の合意事項をまとめておきます。
①早期の国防相会談や軍高官の対話再開。昨年夏のペロシ下院議長(当時)の訪台を契機に中断していましたが、オースティン国防長官と次期国防相との政策調整対話や軍高官同士の実務対話を行うことで合意しました。また、②人口知能(AI)に関する政府間対話を開始する。③薬物対策の作業部会設置などで合意、などです。
バイデン氏は会談で、米中の競争が衝突に転じないように管理しなければならないことを強調。また台湾海峡の平和と安定の維持は重要(南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区での人権侵害に懸念表明もしています)であるとくぎを刺しました。
習近平氏は、「地球は十分に大きく米中の共存は可能であり、大国間競争は時代の現状に合わない」と主張しました。
2013年、オバマ大統領(当時)に対してぶつけた「新型大国関係論」を彷彿させるものでした。
そして習氏は、米国は台湾の「武装化」をやめるべきとくぎを刺し、「(米国で論じられている)台湾侵攻計画」を否定しつつ、「平和は良いが、ある時点で(台湾問題は)解決に向かう必要がある」と不気味な発言も残したのです。
会談直後の記者会見を終え、その会場を離れる際、バイデン氏は記者から「習近平氏を独裁者と呼ぶか」と質問されました。
その時バイデン氏は、「全く異なる政治体制に基づく共産党国家を統治しているという意味で彼は独裁者だ」と答えました。6月にも同じような発言がありました。
中国外務省の毛寧報道官は16日の記者会見で猛反発しています。
またバイデン氏は会談で、米国のインド太平洋地域への関与について意見を交わした際、「米国のおかげで地域に平和と安全がもたらされ、あなたがた(中国)は成長することができた」と習氏に伝えたといいます。しかし習氏は否定しなかったというのです。
習氏にとってこの機会(各種首脳会談およびAPEC首脳会議への参加)は、忍耐の時であったかもしれません。しかし戦略・戦術上必要なこととの認識であるはずです。
中国は今、外部からは見えない重要課題を抱えていると思われます。
秦剛外相、李尚福国防相の更迭、さらに経済政策の責任を李強首相から何立峰副首相に移しました。
何氏が経済政策や対米貿易関係などを担う共産党中央財経委員会弁公室の主任に就いたのです。
習氏は今回、「一歩後退二歩前進」の姿勢でAPECに臨んだのでしょう。反撃の時をにらみながら。
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