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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

米軍制服組トップ、「対中抑止影響せず」と発言

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、116日から12日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 イスラエル軍、ガザ市中心部へ(11月6日)。米軍制服組トップ・ブラウン氏、「対中抑止影響せず」と明言(10日)。米印が2プラス2、防衛協力推進へ(10日)。米中首脳会談、15日に米で開催と両国政府発表(10日)。ハマスが人質解放交渉中断、報道(12日)、などです。

 米軍制服組トップのチャールズ・ブラウン氏は1110日、現在米国は、中東危機とロシアのウクライナ侵略への同時対応を迫られているが、米軍が中国に対処する能力には影響しないと言明しました。
 その根拠として挙げたのが、日本を含めた同盟国との協力が強まっていることでした。本当に大丈夫なのか、という思いです。

 米軍は2010年代、二つの大きな紛争で同時に戦える体制を放棄しています。
 オバマ大統領とトランプ大統領は政治的には両極に立ちつつも、「米国は世界の警察官ではない」と宣言しました。
 トランプ政権の時代、ドイツのメルケル前首相は「欧州が他国に頼れる時代は、ある程度終わりを迎えた」と述べ、フランスのマクロン大統領は「NATO(北大西洋条約機構)は脳死状態」と述べました。

 この流れはバイデン政権の発足やウクライナ軍事侵攻によっても覆ったわけではありません。
 冷戦期において、欧州および東アジア地域での抑止体制を構成していた米軍の前方展開と核による拡大抑止は依然として存在していますが、以前のように強固ではなくなっているのは誰が見ても分かります。

 NATOと日本などアジア太平洋諸国の接近、またインド太平洋での安全保障協力の高まりは、米国への一方的な依存を是正する必要性を米国の同盟国が感じているからなのです。

 欧州、中東、アジアで同時に危機が高まったとき、どこまで対応できるのか不安が残るのは避けられません。
 この点についてブラウン氏は、ウクライナと中東情勢の両方に米軍が対応する中でも「インド太平洋の戦力には手を付けていない」と説明し、「米軍は世界中で活動し、あらゆるシナリオに対処できるようにしようとしている」と明言したのです。

 しかし現実には、米軍の「弱化」は避けられません。
 それでは日本はどうすべきなのでしょうか。

 現在の日本は、その経済力に見合うような中東問題への介入能力や戦略的能力を持ち合わせていません。
 そのような日本としてできることについて1111日、「産経」紙上で、エドワード・ルトワック氏(国際政治学者)は以下のように提言しています。

 日本が中東の石油に依存し、中東に展開する米国の恩恵に浴しているとの認識に明確に立ち、「中東は米国に任せた。日本は中国を睨(にら)んだ東アジアでの軍事的な抑止力強化に一層取り組んでいく」と表明すべき、であると。

 さらに海上自衛隊が保有する潜水艦の運用期間を延長したり、一度退役させた艦で残っているものを復帰させたりして保有隻数を増やすことが考えられる、とも指摘しました。

 台湾有事を想定したとき、日本の潜水艦隊は台湾周辺での制海権確保で枢要な役割を果たすはずです。まさに日本の覚悟が求められています。



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