シリーズ・「宗教」を読み解く 292
日本キリシタン巡礼①
松陰寺の秘仏、マリア観音

ナビゲーター:石丸 志信

 こんな所にも潜伏キリシタンが住んでいたのだろうか。
 棚田やブナの林など、日本の原風景を残す新潟南西部の山間にキリシタン遺跡があるという。

 越後湯沢から数十分間走り、山道に入ると、十日町・松之山にある松陰寺にたどり着く。そこに秘仏マリア観音が安置されていた。

 秘仏といわれるのは、全国でも三体、松陰寺の他、山形と北海道にしかない珍しいものだそうだ。この寺は現在無住のようで、本堂脇に参拝所が設けられ、ガラス越しに参拝できる。

▲松陰寺の秘仏マリア観音

 1966年に元立教大学総長の高田茂博士が調査に入り、これを発見、マリア観音と立証したと説明書きがあった。

 正式には「木造聖母子観音菩薩座像」で、全身が金箔で飾られており、右手に抱えた幼子像は取り外しできるとのこと。
 光背の裏には墨で「諸行無常是坐滅法消滅及寂為楽」と書かれているというが、中に入って見ることはできない。

 住職が寺を守っていた頃に訪問したことのある友人は、マリア観音を近くで見せていただくことができたそうだ。
 このご像を裏返すと台座の裏にはくっきりと十字架の印が描かれていたのを見たと言っている。

 参拝所の中には、マリア観音と並んでもう一体、マリア地蔵と書かれた仏堂が安置されていた。
 これは、子育地蔵の類いで松之山近辺では、子安観音・子育地蔵が点在しており、これらはマリア観音と見られる、と町の観光案内には記されている。

マリア観音参拝所

 この地にどのようなキリシタンの生活が営まれていたのか、どのような歴史が刻まれているのか、ほとんど知られてはいない。

 ここからいくつか山を越えていくと、山形の米沢では、17世紀の初頭に多くの殉教者を出している。
 福島の会津若松方面に出ると、そこにもキリシタンの痕跡が残っている。
 さらに、宮城の仙台や岩手まで広げるとよく知られた殉教地もある。

 こうして見ると、17世紀頃は、東北、信越方面にも無名のキリシタンが多く住んでいたことが分かる。



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