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宣教師ザビエルの夢 8

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「宣教師ザビエルの夢」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。
 1549年8月15日、鹿児島に一人の男が上陸した。家族や故郷を捨て、海を渡った男が、日本で夢見たものは何か。現代日本に対する彼のメッセージを著者が代弁する!(一部、編集部が加筆・修正)

白石喜宣・著

(光言社・刊『宣教師ザビエルの夢-ユダヤ・キリスト教の伝統と日本-』〈1999429日初版発行〉より)

第一章 日本人とユダヤ・キリスト教

三、海を越えた切支丹

最初の留学生
 故・遠藤周作氏は、ある講演の中で切支丹(キリシタン)時代に触れ、「日本史をよりよく理解するうえで、それを世界史のリズムの中でもう一度とらえ直してみてはどうか」ということを述べていました。具体的には、ザビエル以来の宣教師たちが日本から西欧世界に送り出した留学生に、もっと注目してみてはどうかということです。

 そこで、日本人として最初に西欧に渡った人物をみると、鹿児島の青年ベルナルドという人物がいたというのです。彼は、ザビエルの感化を受け、国内の布教活動にも同行しました。ザビエルが日本を離れる時、許されて同じ船に乗り、インドを経て、ローマに留学することになります。1555年にローマに到着したベルナルドは「ザビエルの弟子」、「最初の日本人留学生」として歓迎を受けたようです。ポルトガルで学業を続けましたが、悲しいことに3年後の春、復活祭(◆注7)を前にしてこの世を去ります。

 これが初穂となり、切支丹時代を通じて何人もの留学生がヨーロッパの土を踏み、西欧社会の中に根ざしたキリスト教信仰と文化伝統を直接体験します。そして、それぞれが自らの内で、東洋と西洋の融合という困難な作業に挑んでいくことになるのです。


◆注7:復活祭/イエス・キリストの受難、死、復活を記念するキリスト教最大の祭り。

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 次回は、「海賊の末裔」をお届けします。


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