2023.09.19 12:00
平和の大道 51
必要性・可能性・効果性の検証
皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!
佐藤 博文・著
今回から第二部に移る。先回までの50回にわたる連載では、国際ハイウェイ・日韓トンネルプロジェクトについて、出発、構想、経緯、現状、工事現場の進展状況、展望、組織・態勢、技術、歴史的意義付け、理念・ビジョン・戦略等、総合的な観点から4年間にわたって論じてきた。
その間読者の方から多くの意見や様々な質問を頂いたが、紙面の都合上、その一つ一つについて答えることができなかった。そこで、今回からは、それらを大まかに分類して、最初に質問事項に答えることにした。
一般的に新しい物事を始める時に必要な三要素、すなわち「必要性」と「可能性」と「効果性」を挙げることができる。少なくともこの三つの要素がそろわなければ、事を始めるべきではない。まずここでは質問事項をこの三つに分類して整理してみることにした。
必要性
「必要性」に関して様々な観点からの質問があった。
・国際ハイウェイ/日韓トンネル建設という、高度の技術、多くの予算、長い年月がかかる夢のようなビッグプロジェクトを、現時点で日韓両国が中心となって巨額な資金を投入してその実現に取り組むことが本当に必要なのか。
・日韓両国の交流は将来においても飛行機と船舶で十分ではないか。そもそもあえて長大な海底トンネルを作る必要があるのか。国家予算の浪費となるのではないか。
・今すぐには必要ではないが、将来的に、世界平和や、北東アジア地域、日韓両国の経済発展や安全保障等のために必要だと判断するとしても、何のために、誰のために、またどの程度必要なのか。
・絶対的に必要なのか、それともあったほうが良い程度の必要性なのか。
・日韓の経済状況が厳しい昨今、巨額の費用がかかる日韓トンネルのようなビッグプロジェクトは不必要ではないか。
このように「必要性」の内容や程度についても様々に分かれる。必要性の判断は、色々な価値観や観点によって異なるため、議論がややこしくなって難しいが、ここをしっかり検証し押さえておかないと、プロジェクト自体が無意味となるから、しっかりとした検討が必要である。
可能性
次に、本当に技術的に、または予算的に、政策的に実現できるのかという「可能性」に関する質問も多い。必要性、効果性が検証されたとしても、可能性において難があれば単なる夢物語に終わる。可能性に関して最も重要な問題は「資金調達」である。海底トンネル建設工事に関しては、既存技術でほぼ可能であることは検証されている。
・約10兆円の日韓海底トンネル建設費をどのようにして調達するのか。国家予算(税金)か、民間のファンド(投資、借入)か。日韓トンネル工事費の日韓の費用の分担比率はどのくらいか。
・建設主体は政府か、民間か、合同か、その他の形態か。民間主体でなす場合はいかなる形態でなすべきか。
・青函トンネルの4倍にもなる長距離の海底トンネルの安全性に関して、技術的に克服しているのか。
・英仏海峡トンネルに関して、イギリスとフランス間で両国首脳同士が合意したが、日本政府と韓国政府の間で、このような合意は果たして可能なのか。近いうちにその見込みはあるのか。
効果性
最後に、それができたとすると、どのような効果、影響、利益、不利益があるかという「効果性」に関する問題になる。特に「経済効果」に関する質問が多い。
・建設だけでも約10兆円ちかくかかる日韓トンネルは、運送費の徴収だけで投資資金に見合うだけの収入が得られるのか。十分に得られないとすれば、建設の形態をどのようにしたら良いのか(例えば、建設は政府で、運営は民間で)。
・直接的な経済効果を超えて、経済の間接的なシナジー効果(波及効果)はどのくらいになるのか。
・安全保障、政治的安定性に対する効果はどの程度見込まれるのか。
・さらに、金銭では計算できない文化交流面での効果や日韓の歴史的な関係修復にどのように貢献するようになるのか。
・総合的に見て、果たして日本の国益全体に貢献するのか。
・世界平和という人類全体に関わる課題に対して実際どのように貢献するようになるのか。
(『友情新聞』2015年9月1日号より)
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次回は、「日韓トンネルの必要性の検証①」をお届けします。
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