2023.07.20 22:00
勝共思想入門 47
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)
光言社・刊
第十二章 マルクスの根本矛盾とその克服 -総括として-
二 真の解決の道
(一)人間とは何かの再検討
フォイエルバッハにとって、動物と人間の本質的な区別は、自己の「類」の意識であると述べています。動物にはできない人間の能力として、自分自身をさえ対象として扱い、人間とは何かとか考えることができる能力、すなわち個々の特色ある人間だけをとらえるのではなく、一般的な人間とは何か、その本質は何かという具合に考える能力をもっているというのです。
確かにそうです。そして、さらにこのことは、マルクスの場合でも同じなのです。マルクスは物事を抽象化し、一般化し構想としてつくり上げる能力、いわば「類」の意識を人間特有のものとして挙げています。
「われわれは、労働がもっぱら人間にのみ属する場合の形態における労働を想定する。蜘蛛は織匠のそれに似た作業をなし、蜜蜂はその蠟房(ろうぼう)の構造によって、多くの人間の建築師を顔色なからしめる。しかし、最悪の建築師でも、もとより最良の蜜蜂にまさるわけは、建築師が蜜房を蠟(ろう)で築く前に、すでに頭の中でそれを築いているということである」(『資本論』第1巻)。
人間の能動性、生産性をここに見ることができます。これが理性であり、自由であることの基礎となっているのです。
人間が動物でなく人間である根拠をこの点に挙げているとするなら、この「類」の意識、これはすべてのものを対象化しようとする性質から来ているものと見るのですが、これが、人間のより本質的なものといえるでしょう。つまり、現実と結びつくことなくしてはあり得ない感性よりも、この理性的能力のほうがより本質的なものであるといってよいはずなのです。
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次回は、「真の解決の道 ~結論」をお届けします。
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