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勝共思想入門 42

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)

光言社・刊

第十一章 搾取の本質(その二)

三 相対的剰余価値

 第二に、相対的剰余価値の追求について説明します。資本主義社会の初期段階では、労働者の地位は低く力も弱かったので、長時間労働による絶対的剰余価値の追求が資本家企業による利潤増大の主な手段でした。しかし、資本家と労働者階級との闘争の結果として、標準的労働日が定められるようになりました。また、資本家の立場からしても、労働日の延長や休息時間の無視などによる酷使は、長い目で見れば不利であるという意識をもつようになっていきます。

 そこで、労働時間の延長という方法を用いず、なおかつ剰余価値を増大させる方法を考えるようになったというわけです。それは、必要労働時間の短縮による相対的剰余労働時間の延長ということになるのです。このような方法であげられる剰余価値を「相対的剰余価値」と呼んだのです。

 さて、ここで必要労働時間が短縮されるというのは何を意味しているのでしょう。必要労働時間が短縮されるということは、労働力の再生産のために必要な生活物質のための労働時間が短くなることにほかなりません。つまり、生活物質の価格、価値が低くなることによって、実現されるのです。それは、消費財をつくる分野での労働の生産力が上昇することを意味するのです。労働の生産力の上昇は、生産システムの変更によってもたらされるか、機械の導入によってなされるかのいずれです。それまで、単位時間当り100個生産されていたものが、200個となれば、1個の商品に含まれる価値は半分となります。このようにして、必要労働時間の短縮がなされるというわけなのです。

 「合理化」は機械の導入などによってなされたり、また、単なる人減らしという形でなされたりするわけですが、いずれも、必要労働時間の短縮がもたらされ、相対的に剰余価値が増大するというわけです。つまり、搾取(さくしゅ)の強化につながり、失業者を増やすことにつながると見ます。このような搾取理論を、資本主義社会の矛盾を暴露した真理としてとらえた結果、経済的競争の自由に基づく資本主義社会はますます労働者たちの疎外を強めることになるというのです。

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 次回は、「労働者は窮乏化する」をお届けします。

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