2023.04.25 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
衆参5補欠選と統一地方選後半
自民辛勝、維新伸長、共産退潮
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、4月17日から23日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
国連発表、インドの人口が世界最多に(19日)。性自認触れる授業禁止、米フロリダ州(19日)。韓国、日本を24日に優遇国に再指定と発表(21日)。衆院補選、統一地方選後半の投開票(23日)、などです。
衆参5補欠選と統一地方選挙後半の投開票が4月23日に行われました。
安倍元首相が凶弾に倒れたことを受けた山口4区で安倍氏の後継を託された自民新人の吉田真次氏(38)が初当選しました。
大きな課題だった知名度不足を補ったのは安倍氏の妻、昭恵さんでした。
まさに「二人三脚」で、強固な安倍元首相の支持層をしっかりと引き継いだのです。
23日午後8時過ぎ、投票の締め切りと同時に吉田氏の当確が出るという圧勝でした。
吉田氏は「安倍氏の無念を晴らしたい」と決意を述べ、昭恵さんは「吉田氏が主人の志をしっかり受け継ぎ、国政の場に出ていっていただける。感謝の気持ちでいっぱい。本当におめでとうございます」と語りました。
安倍氏の後継選びは昨年10月、山口県民葬後に本格化し、当初は昭恵さんの出馬を望む声が上がりました。しかし昭恵さんは「私は出るべきではない」と固辞し、「主人と国家観が似ており、その志を継いでくれる」と強い期待を示したのが下関市議の吉田氏でした。
当然、安倍氏の支援者の間では全国的には無名の吉田氏に後を託すことに不安もありましたが、吉田氏は短期間に500カ所の街頭に立ち、自分の強い思いを訴えたのです。
山口2区は、体調不良のために引退した岸信夫氏の後継として、秘書を務めていた岸信千世氏(31)と無所属元職(旧民主党、元法相)の平岡秀夫氏(69)との一騎打ちとなりました。世襲に対する厳しい視線が注がれ、批判の声もありましたが岸氏が初当選しました。
衆参両院五つの補欠選挙で自民党(自民)は、接戦を制して4勝1敗。想定より厳しい戦いを強いられた地域も多かったのです。
衆参補選は、発足から1年半を経た岸田政権への「中間評価」と位置付けられ、解散総選挙時期を視野にその結果が注目されていました。
大差の勝利は山口4区のみでした。和歌山1区や参院大分選挙区に首相や党幹部らが何度も現地入りし、まさに総力戦を展開しましたが、和歌山1区では日本維新の会の候補に手痛い敗北を喫したのです。与党内には関西での維新の伸長に危機感が強まっています。
日本維新の会は、前半戦で大阪府知事と市長のダブル勝利をし、奈良県知事選も制しました。今後さらに、保守層の受け皿としての存在感を増し、その勢いが全国に広がっていく様相を見せています。
馬場伸幸代表は23日、民放のインタビューで「自民以外に託してみようとの雰囲気がかなり大きなうねりとなった」と述べ、手応えを示しました。
維新は選挙戦で岸田政権の防衛費増額に伴う増税方針を強く批判し、行財政改革の徹底などを訴えて無党派層に浸透しました。
出口調査の結果から、自民党支持層の一部も取り込んでいることが分かります。
馬場氏がこの統一地方選で達成できなければ辞任する考えを示していた「地方議員を600人以上に増やす」という目標をはるかに超え、非改選の議席を含めて774人となっています。
共産党は後半戦の市区町村議会選で909議席を獲得。しかし一般市議選で55議席減となり、2019年の前回選に比べて全体で計91議席減となりました。前半戦に続いて退潮傾向に歯止めがかからない状況です。
自民党内には、早期の解散総選挙を期待する声もあります。野党の態勢が整う前に、というものです。
2024年9月には、首相の総裁任期が切れます。今後、衆議院の解散総選挙の時期が焦点になってきます。
首相にとって、解散時期は党総裁2期目を目指す上で極めて重要です。
衆院選で勝利後、総裁選を無風で乗り切るのがベストシナリオですが、衆院選勝利から党総裁任期の来年9月までにあまり日数を開ければその間に支持率が低下し、「岸田おろし」が起きる恐れも出てきます。
今後首相は、内閣改造や解散時期を探ることになります。
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