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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

米韓首脳会談で「ワシントン宣言」公表

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、4月24日から30日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 スーダン退避の韓国軍機に日本人数人も同行(24日)。バイデン米大統領、再選出馬表明(25日)。中国「反スパイ法」改正案を可決(26日)。米韓首脳会談の開催(26日)。尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領、米上下両院合同会議で演説(27日)。性自認トイレ使用禁止へ、米カンザス州法(27日)。パラグアイ、台湾との関係維持へ(30日)、などです。

 米韓首脳会談が426日、ホワイトハウスで開催されました。
 「ワシントン宣言」が発表され、翌27日は上下両院合同会議で尹錫悦大統領が演説を行いました。

 今年は米韓同盟結成から70年の節目の年に当たります。
 北朝鮮による異常ともいえるミサイル発射や核の先制攻撃への言及により、韓国内には米国による「拡大抑止」への懸念が生まれ、「独自核」の開発保有を求める世論が高止まりしているのです。

 尹錫悦大統領の訪米、首脳会談、そして上下両院合同会議での演説は、朴槿恵(パク・クネ)元大統領から10年ぶりとなりました。
 国賓として招かれた尹氏は米国から歓迎され、米韓同盟の強化、特に「拡大抑止」策において、より踏み込んだ内容が合意されたのです。

 「ワシントン宣言」の内容は、核抑止力に向けた新たな協議体の創設が柱となっています。その協議体は、「米韓核協議グループ」(NCG)という名称です。
 注目点は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮をにらんだ米軍の核戦略について、韓国に「発言権を与える」(米高官)ものになったことです。
 米国の核計画の策定に韓国の関与を一定程度認めるというものです。

 NATO(北大西洋条約機構)には核抑止力についての閣僚レベルの協議体「核計画グループ」(1966年に創設)がありますが、これが米韓の協議体のモデルになる(フランスは不参加)といわれています。

 今後、米軍の空母や戦略爆撃機などを朝鮮半島に展開する回数を増やすことになります。さらに米軍の弾道ミサイル搭載型の原子力潜水艦を1980年代初頭以降で初めて、韓国に寄港させる計画を公表しました。

 米政府は韓国に核兵器を配備する計画はないと明言しており、米韓の協議体はNATOの「核共有制度」とは異なります。
 さらに米国は、日本に対して日米韓3カ国での核抑止の協議体創設を打診しています。日韓共に国内世論に課題を残しています。

 バイデン大統領は会談後の共同記者会見で、北朝鮮が核攻撃を行えば、「政権は終わりを迎えることになる」と発言しました。

 北朝鮮は強く反発しています。朝鮮中央通信は29日、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が「ワシントン宣言」を発表した米韓に対して、「米国と南朝鮮はさらに強力な力に直面する」と反発する声明を発表したと報じました。
 特にバイデン氏が会見で、北朝鮮の「政権が終わりを迎える」との発言に対して、「老人の妄言」と批判したのです。新たな挑発行動を取る可能性もあります。

 尹氏は米韓同盟重視に大きく舵(かじ)を切りました。米国もそれを歓迎し、さらに中国への対応、特に半導体サプライチェーンに関する連携にも積極的に加わるように期待しています。
 しかし、世界有数の半導体企業でもあるサムスン電子やSKソニックは中国に大規模工場があり、葛藤を抱えながら徐々に転換しなければなりません。

 尹政権は、対日外交、対中外交と経済関係の方針転換を進めていますが、国内により大きな反発を生む要因にもなっています。日米共に、尹政権を支える姿勢が求められるでしょう。



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