2023.03.03 12:00
スマホで立ち読み Vol.20
『要約 統一思想・勝共理論』19
統一思想研究院・編著
スマホで立ち読み第20弾、『要約 統一思想・勝共理論』を毎週金曜日(予定)にお届けします。
膨大な内容で構成されている統一思想と勝共理論を、分かりやすく要約しました。統一思想で神について学び、勝共理論で神の存在を否定する共産思想の間違いについて学びます。
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第二部 勝共理論
第三章 弁証法の批判とその代案
二 弁証法の批判
事物は対立物の闘争によって発展すると主張しながらも、発展する自然事物の実例をマルクスは一つも挙げないでいる。マルクスが自然の発展の実例を挙げずに、弁証法をそのまま歴史観に適用して「人類歴史は階級闘争の歴史であった」と断定したのは、まさに弁証法が真理であるからでなく、武器として利用価値があるために、それを彼の思想に採用したという端的な証拠でもある。より正確にいえば、武器になるように唯物弁証法を作り上げたのである。のちに、エンゲルスが広く自然科学(天文学、物理学、化学、力学、生物学、数学など)を研究して、唯物弁証法が間違いなく自然の事物に常に作用していることを発見したとして、その内容を本に著した。それが『自然弁証法』である。彼は『空想から科学へ』という著書においても「自然は弁証法の検証である」、「自然は結局は弁証法的に動いている」と主張しながら、マルクスの弁証法の正当性を強力に擁護(ようご)した。しかし驚くべきことに、エンゲルスもやはり自然現象の中から、発展の実例といえるものを何一つとして提示できないでいる。発展とは何の関係もない事例を、それも反弁証法的な可能性を排除することなく、手当たり次第に、例挙している。あたかも自然科学がそのまま唯物弁証法であるように主張しているのである。それは良く言って本人の錯覚(さっかく)であり、悪く言えば他人に錯覚を起こさせようとする計略なのである。
発展とは、スターリンによれば「古い質的状態から新しい質的状態への移行」であり「単純なものから複雑なものへ、低いところから高いところへ」の前進運動であった(『弁証法的唯物論と唯物史観』)。このような発展の概念に該当する実例は、自然界では、宇宙の発展、生物の成長と進化のほかにはないのである。ところがエンゲルスはこのような発展の例を挙げないで、発展とは直接的には関係ない物理的、化学的(力学、数学なども含む)な事例のみを挙げているのである。彼が扱った自然科学の中で、発展に関する実例を提示することのできる領域は天文学と生物学であるが、天文学では数十億年の長い期間に渡って天体が形成されてきた過程を例示しなければならず、生物学では下級動物から高等動物へ向かう進化過程、または種からの発芽、卵からひよこの孵化(ふか)過程などを扱わなければならなかったのにもかかわらず、そのような実例は一つも扱っていない。
レーニンも弁証法の例を挙げはしたが、やはり発展とは何の関係もない実例であった。すなわち「数学ではプラスとマイナス、微分と積分、力学では作用と反作用、物理学では陽電気と陰電気、化学では原子の結合と分解」(『哲学ノート』)というのであった。こうしてみると「自然は弁証法の検証」でなく、むしろ「自然は弁証法の反証」であることをエンゲルスとレーニンが証明したものと見るべきである。
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次回は、「弁証法の代案」をお届けします。お楽しみに!