2022.12.13 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
日本の防衛費、来年から5年間で43兆円増額へ
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、12月5日から11日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
岸田首相、来年から5年間で防衛費を43兆円増やすように関係省庁(防衛省と財務省)に最後通告(5日)。習近平主席、サウジアラビア訪問(7日から)。韓国、数え年廃止し満年齢に統一へ(8日)。同性婚権利法案 米下院で可決(8日)。岸田首相、政府・与党政策懇談会で防衛費増額(5年間で43兆円)の財源に関する方針を表明(8日)、などです。
岸田首相は12月5日、来年から5年間で防衛費を43兆円増やすように関係省庁(防衛省と財務省)に最後通告しました。
防衛費増額を巡る政府内の攻防は、今年の夏から続いていました。来年(令和5年度)から5年間の防衛力整備に必要な総経費が「主戦場」でした。
首相は、前例踏襲の発想はやめて「とにかく必要なものを全部出せ」と、まず防衛省に指示。防衛省内ではじきだした金額は、5年間で計55兆円でした。5年間を通して防衛費は対国内総生産(GDP)比2%に達する計算です。その後の精査で8月末には48兆円に納まりました。
しかしその後、財務省の巻き返しがありました。財源不足を理由に当初は33兆円が限度だとし、その後も「30兆円台半ば」と譲りませんでした。
防衛省も検討を続け、契約方法や執行能力を加味して「約43兆円」という数字を提示したのです。
岸田首相は8日、政府・与党政策懇談会で防衛費増額(5年間で43兆円)の財源に関する方針を表明しました。その中で、2027年以降に必要となる年4兆円増加分は歳出削減などで3兆円ほど確保し、不足する1兆円強を増税で賄うとしました。23~26年度は赤字国債の活用も含まれているといえます。
さらに10日の記者会見で、2027年度以降に必要となる毎年度約4兆円の追加財源のうち、1兆円強を税制措置で賄う方針を表明しました。
政府与党では、財源として法人税やたばこ税の増税、東日本大震災後に設けた復興特別所得税などを活用する方向で調整するとしています。
ところが、国債発行や景気回復による税収増を排除した岸田増税に対し、与党や閣内からも批判・疑問が噴出しています。
高市早苗経済安全保障担当相は10日、「企業が賃上げや投資をしたら、お金が回り、結果的に税収も増える。再来年以降の防衛費財源なら、景況を見ながらじっくり考える時間はある。賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できない」と発言。
西村康稔経産相も同日、「今年の税収は過去最高68兆円となる見通し。今後5年間は大胆な投資・賃上げに集中し、成長軌道に乗せて税収増につなげるべき時であり、私自身は増税に慎重な立場。政府内でも主張している」などと述べています。
閣内、自民党内の批判をどのように収拾するのかが、注目されます。
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