2022.12.20 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
米中間選挙、ようやく議席確定
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、12月12日から18日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
米上下院全議席確定(12日)。核融合でエネルギー獲得、米発表(13日)。WHO(世界保健機関)、中国の低いワクチン接種率に警鐘(14日)。日本政府、安全保障関連3文書を閣議決定(16日)。米国が新部局「チャイナハウス」を設置、対中国の司令塔(16日)に、などです。
米中間選挙(11月8日投開票)の全議席が12月12日、ようやく確定しました。郵便投票分の集計に時間を要することや、特に12月6日に上院選・バージニア州の再選挙が行われたことも要因に挙げられます。
下院選では(定数435)、野党・共和党が222議席、与党・民主党が213議席。上院選では(定数100)、非改選を含め共和党が49議席に対し、民主党系が51議席と過半数を占めました。
改選前は、下院は民主党が過半数218を上回る220議席、共和党が212議席、欠員3でした。上院では民主党系と共和党系がそれぞれ50議席でした。
中間選挙後、下院選で当選した民主党の現職が死去したため、来年1月の新会期開始時に下院民主党は212議席となります。
また、12月9日、民主党のキルステン・シネマ議員が離党して無所属で活動する意向を表明しました。よって上院民主党は、会期開始の時にはもう一議席減ることとなります。
それでも、民主は上院(定数100)で50議席を持つためギリギリ多数派を維持することにはなります。
キルステン・シネマ氏は離党後、野党・共和党会派には加わらないことを明確にしていますので、議席数に比例して構成を決める委員会でも民主が優位を確保する見通しとなっています。
同氏は9日、自身のツイッターで「ワシントンの壊れた党派システムからの独立を宣言し、無所属として正式に登録する」と述べました。
シネマ議員は中道派で、これまでも民主党のジョー・マンチン上院議員と共に党の政策にたびたび反対してきました。
富裕層や企業への増税に慎重で、これからも政策ごとに賛否を判断すると見られます。
現在17ある常任委員会の構成は議席数に比例して与野党に配分する慣例があります。シネマ氏は民主会派に残るかどうかは明言しなかったものの、民主が割り当てる委員会の席は維持したい考えを示しています。
少なくとも同氏が共和会派入りしなければ、委員会でも民主が安定した運営を維持できる公算が大きいのです。委員会で委員数が同数だと、法案や人事案を委員会で通すには原則として野党の協力が必要となります。
バーニー・サンダース、アンガス・キング両氏も無所属ながら民主会派に所属し、同党の議席に数えられています。同じようなスタンスを取るのか、注目されます。
上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務は、2023年1月の新議会でも民主党の委員会ポストでシネマ氏が活動するのを認める方針を示しました。「民主は委員会で多数派を維持する」とも語り、シネマ氏の離党による議会運営への影響を否定しています。しかし不透明さが増してきたと言わなければなりません。
下院は共和党が過半数を獲得し、バイデン政権に対する攻勢が始まります。2024年の大統領選挙に向かって共和党は有利な基盤を固めつつあると言えるでしょう。
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