2022.01.26 12:00
スマホで立ち読み
『よくわかる勝共理論』(8)
マルクスとエンゲルス
好評シリーズ「ほぼ5分でわかる勝共理論」でおなじみの、中村学講師の著作『よくわかる勝共理論~日本と世界の平和のために』(光言社)の一部を「立ち読み」でご覧いただけます! 毎週水曜日にお届けします。
反共を超えた、「勝共」を理解するためにぜひ読んでおきたい一冊です。
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中村 学・著
第二章
マルクスの動機
マルクスとエンゲルス
この章では、共産主義思想を体系化したカール・マルクス(1818~1883)について説明します。
マルクスの紹介から始めるのは、少し遠回りな感じがするかもしれません。しかしマルクスの生涯を知ることは、彼が作った理論を理解するうえで非常に重要です。なぜなら思想とは、ただの記号ではないからです。思想には人々の心に訴えかける力があります。ただの論理ではありません。思想には何らかの思いが込められています。そして共産主義には、特にこのことが当てはまります。
結論から言うと、共産主義思想に込められた思いとは“怨(うら)み”です。マルクスは不遇な境遇で育ち、多くの人々を怨みました。やがて社会全体を怨み、さらには神様をも怨むようになりました。この“怨み”こそが共産主義思想の背後にある力です。
さて、共産主義思想はマルクスが一人で書いたのではありません。マルクスはまず、自分の考えを膨大なメモとして残しました。そしてそれをまとめながら論文として発表していきました。ところが彼は、それを最後まで完成させることなく他界しました。貧困と病気の苦痛の中で、64歳で亡くなりました。その後、彼のメモをもとに論文を完成させたのは、彼の盟友のフリードリヒ・エンゲルス(1820~1895)でした。共産主義思想は、マルクスとエンゲルスによって体系立てられたのです。ですから日本では、共産主義の思想を「マルクス=エンゲルス全集」(全53巻、大月書店)として販売しているものもあります。
マルクスは、年をとり、貧困の中で、そして病気の中でも共産主義を執筆しました。命を落とすまで書き続けたのです。恐るべき執念です。そのエネルギーの源は、彼の強烈な“怨み”でした。実在する人物を怨んだとしても、その復讐(ふくしゅう)のために人生を費やす人はあまりいないと思います。マルクスはそれほどまでに、神と社会を怨んでいたということです。
では、マルクスはどのようにして、それほどまでの怨みを持つようになったのでしょうか。
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次回は、「共産主義社会とは『生産手段を共有する社会』」をお届けします。