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青少年事情と教育を考える 278
「グローバル人材の育成」を掲げる文科省

ナビゲーター:中田 孝誠

 現在の日本はさまざまな課題に直面していますが、中でも専門的な知識や技能を備えた人材の育成は急務の課題だといえるでしょう。

 今年の文部科学白書は、「グローバル人材の育成」を特集しています。
 昨年6月に文科省が打ち出した「第4次教育振興基本計画」では、今後5年間に取り組む教育目標として「確かな学力の育成」などと共に「グローバル社会における人材育成」が挙げられています。それだけ重要な目標とされているわけです。
 今回の白書では、グローバル人材育成に向けた国の取り組みを紹介しています。

 そもそもグローバル人材とはどのように定義できるのでしょうか。

 白書の中では、「世界が直面する課題の解決に向け、我が国を代表して世界と対等に渡り合い、国際社会の協調・連帯を主導することができる」「地域社会の活性化を担う」人材だと述べています。

 そして、このような人材育成の鍵として、①日本からの留学・人材の交流、②優秀な留学生や人材の受け入れ・定着、③教育の国際化、の3点を挙げています。

 具体的には、例えば高校生の留学を促進するため、現在も行われている官民協働の留学支援「トビタテ!留学JAPAN」で5000人以上の留学機会をつくるとしています。

 また、小・中・高校を通じた英語教育の強化、高校生国際会議など高度な学びを提供する拠点校の全国配置を挙げています。
 大学生に対しては、留学のための奨学金の充実、優秀な外国人留学生の受け入れと日本人学生の留学促進など大学の国際化を進めるとしています。
 全体として、留学の推進が大きなポイントになっています。

 一方、留学の現状を見ると、コロナ禍前の2017〜2019年度に海外留学した日本人学生は11万人前後でした。2022年度は5万8162人です。
 また、海外から日本に留学した外国人留学生は、コロナ禍前の2019年がピークで31万2千人余りでした。2023年は27万9274人です。

 ただ、近年は留学の希望者が少ないことが大きな課題になっています。
 海外の国々では留学希望の若者が5割程度いるのに対して、日本は逆に「留学したいと思わない」が5割を超えています。また、留学する場合も短期留学が多く、「3カ月未満」が約4割を占めています。
 その理由として、経済的な問題、語学力に自信がないなどの問題が挙げられています。

 グローバルな視点を養うことはもちろん重要です。たとえ留学が難しくても、例えば自治体が学校をサポートするなどして、小・中・高の段階から地域に住む外国人との交流を活性化させるなどの取り組みが必要になりそうです。

※数値は内閣府、独立行政法人日本学生支援機構の調査から引用しています。


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