https://www.kogensha.jp

【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

24回 わが子に厳しいしつけを繰り返してしまいます。どうしたらよいですか?

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)


 皆さん、こんにちは!

 今回の質問は、「わが子に厳しいしつけを繰り返してしまいます。どうしたらよいですか?」という質問です。

 児童虐待防止法が施行されて202011月で20年を迎えましたが、児童虐待相談件数はここ十数年にわたって右肩上がりに増え続け、2019年の相談件数は過去最多を更新して159838件(厚生労働省発表 速報値)となりました。

 2020年4月から、親権者などによる「体罰」を禁止する改正児童虐待防止法と児童相談所の体制整備を定めた改正児童福祉法が施行されたように、今や「虐待」は深刻な課題として注目されています。

 体罰が法律で禁じられているにもかかわらず、虐待が増え続ける背景には、「体罰は教育的効果がある」という考え方が根強く残っていることが挙げられます。

 しかし、厚生労働省が延べ16万人の子供たちのデータをもとに「体罰は百害あって一利なし」という結論を出し、2017年に「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」というキャンペーンを打ち出しました。

 幼い頃から虐待を受けていると、結果的にはその子供自身も攻撃的、反社会的な行動をするようになっていきます。

 虐待は当然のことですが、「マルトリートメント」と表現される「不適切な養育」もまた、子供の心と身体の健全な育成・発達を阻むことが医学的に認められ、その内容が発表(福井大学子どものこころの発達研究センター)されています。

 例えば、胎児期、乳幼児期、思春期などの発達過程における大切な時期に、大人の不適切な関わりによって子供が極度のストレスを感じると、脳が傷ついたり変形したりするようです。

 厳しい体罰を受けると、「前頭前野」の中でも感情や思考をコントロールし、行動制御に関わる部分の容量が小さくなって、さらに集中力や意思決定、共感などに関わる「(右前)帯状回」も大きく減少します。
 その結果、うつ病の一種である「気分障がい」や非行を繰り返す「素行障がい」につながることが明らかになっています。

 また、子供が家庭内暴力を目の当たりにする「面前DV」という心理的虐待や、スマートフォンを操作しながら育児をする「スマホ育児」「ながら育児」もマルトリートメントと言えます。

 子供は親の腕に抱かれ、親と見つめ合い、ほほ笑み合うことで、安心感・信頼感を体で覚えていくものですが、実際には身近な大人と愛着を結べないまま成長していく子供が多く存在しています。

 それらの背景にある問題は、「親自身のストレスが大きい」ことにあります。
 家庭の在り方も共働きや核家族化が進み、変化しました。
 離婚により、母子家庭・父子家庭が増える中で、「子育て」が「孤育て」という孤独な子育てになりかねない状態なのです。

 ですから、まずは夫婦間での内外共の協力関係が必要になると言えるでしょう。
 また、教会の責任者をはじめとして、信頼できる親や先輩・友人など、話を聞いてもらえる相談相手がいたなら心の支えにもなります。

 虐待する親自身も、成長過程で親から暴力や暴言を受けてつらい体験をしているという場合が多くあります。加害者である親も、実は被害者だったりするということです。

 このような「否定したい過去」を持っていると、目の前のこともつい否定したくなるものです。
 ですから、まずは「全てを肯定して受け入れる」という心の姿勢を持つことが大切です。

 また、人間は「怒り」の感情が沸点に達すると、脳からアドレナリンが大量に分泌されて暴力的になります。
 そのような時には、まず「深呼吸」をして、「6秒間」待つだけでアドレナリンの分泌が収まり、冷静さを取り戻すことができます(参考書籍『虐待の淵を生き抜いて』島田妙子 児童虐待防止機構オレンジCAPO理事長)。

 自分の感情を上手にコントロールするコツを学んで、家庭を幸せと平和の基地にしていけるよう心掛けていきましょう。

 皆さんからの質問をお待ちしています。
 「人生相談QA」で、ほぼ5分でお答えいたします。また、お会いしましょう!

【「ほぼ5人生相談Q&A」~質問・相談はコチラまで!】