2020.12.19 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第20回 愛着障がいをどのように克服したらよいでしょうか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回の質問は、「愛着障がいをどのように克服したらよいでしょうか?」という質問です。
「愛着(アタッチメント)」とは、イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した概念であり、「特定の人に対する情緒的な絆」のことです。
「愛着障がい」とは、何らかの理由により、親や養育者と子の間で健全な愛情の形成がされず、情緒面や対人関係に問題が現れてしまうことをいいます。
多くの人の場合は、親子関係を通して愛着が形成され、その愛着関係が心の深いところに根付き、自立心や自尊心が育っていきます。
さらには、そこから人間関係や社会性が発達していくのだといわれています。
しかし、それがなされない場合は、「甘えること」や「信頼すること」などの経験値が低くなります。
自立心や自尊心も低くなりやすく、そのことで他者とのコミュニケーションが取りにくくなったり、社会生活や心身の健康に影響を及ぼしたりする可能性があります。
医学的には「反応性アタッチメント障がい(反応性愛着障がい)」と「脱抑制型対人交流愛着障がい」の二つに分類されています。どちらも5歳以前に発症することが多いといわれています。
前者は人に対して過度な警戒をしてしまい、後者は人に対して過度になれなれしい態度を取ってしまうということです。
二つの障がいの特徴として似通っている点は、人間関係の距離感が極端になりやすく、トラブルを抱えやすいこと、また、性格的には意地っ張り、強情であったり、度が過ぎたわがままであることが多いといわれています。
子供の時代の愛着障がいが改善されないまま成長すると、大人になってからもその障がいは癒えないままに残り続けます。
さらには、親になった時に子供とのかかわり方において、「過干渉」や「育児放棄」などの不適切な養育をするようになり、愛着障がいの世代間連鎖へと発展していきます。
愛着障がいを克服する方法は、大きく分けて三つあります。
第1の方法は、「過去の記憶の中で愛情を再発見する」ことです。
親子関係に課題があり、つらい記憶が多くあったとしても、子供の頃に親から愛情を受けたという体験がきっとあるはずです。
心の内面を振り返り、愛されていた記憶を再確認することで、自分の人生を再評価する方法です。
そのきっかけとして、カウンセリングを受けることや、親子セミナーなどを通して親子が向き合って愛情表現をすることも、これを克服するための良いきっかけになります。
第2の方法は、「愛情をパートナーや友達から獲得し直す」ことです。
「信頼できる」と感じることのできる身近な人たちとのコミュニケーションやスキンシップを通して、幼少期に親子関係で得られなかった愛情を補うこともできます。
第3の方法は、「自分の存在価値を認められる環境に身を置く」ことです。
愛着障がいを抱える人は、自尊心や自己評価が低い傾向にあるので、自力で解決することは簡単ではありません。ですから、周りの協力が必要です。
他者から自分の存在価値を認めてくれる「承認」「共感」「称賛」などを通して自尊心や自己評価を高め、障がいを改善していくことです。
一方で、その背景に発達障がいや精神疾患などが隠れているケースもあります。
つらいと感じた場合には、一人で抱え込まずに、医療機関や相談機関などの専門家のサポートを受けることも検討してみましょう。
皆さんからの質問をお待ちしています。
また、お会いしましょう!