家族の絆づくり 145
「子犬のしつけ」の秘訣は子育てにも通じる

ナビゲーター:阿部 美樹

褒めて喜ばせてしつけする
 子犬を初めて飼うときに神経を使うのが「しつけ」です。食事やトイレのしつけ、かんだりほえたりすることに対するしつけなどに神経を使います。

 専門家の話を聞くと、「信頼される飼い主になる」ことが重要であり、そのためには、「叱らずによく褒めて、楽しい飼い主さんになる」ことが大切なようです。

 叱ったり、たたいたりして教えようとしても、信頼関係を壊す恐れがあります。叱られると、叱られないように隠れて同じことをしがちです。
 力ずくで教え込もうとすると、自分よりも弱いものに対しては暴力を振るって支配しようとする性格になったりします。

 大切なことは、「褒めて喜ばせてしつけする」と、飼い主さんを「喜ばせようとする犬になる」ということです。これは、人間の子育てにも共通することではないでしょうか。

「正しいこと」よりも「楽しいこと」
 親から子に対して、叱って教えようとするよりも、褒めて教える方が素直な子供に成長することでしょう。

 親の考えを一方的に押し付けることも同じです。親は子に、「周りの人に親切にすべきだ」「好き嫌いを言ってはいけない」「人さまに迷惑をかけてはいけない」など、精神論や教育論を教え込もうとする傾向があります。しかし、親が強調して伝えたとしても、案外、子は心から納得していない場合が多くあります。

 「これが正しいのだから」「こうすべきなのだから」という話は、親の側からすると楽な教え方、楽なしつけ方かもしれません。しかし子供はそういう「すべき論」や「理想論」に対して、頭では分かっても心深くは入ってきません。

 それよりも、親から喜びをもって迎えられること、笑顔で受け入れられること、笑顔で褒められること、そのようなことを繰り返していくと、子供はうれしくなります。
 子供に「親の笑顔や賞賛に迎えられたい」「親を喜ばせたい」という気持ちが育まれていきます。

 親が「正しいこと」を教え込むよりも、「楽しいこと」を教えることの方が心から納得して前向きな意欲が育まれるようです。

 人は誰もが押し付けがましい話を聞きたいとは思っていません。自分が思っていることを人に押し付けるのではなく、自分の持っている「情報」を話せばよいでしょう。

 大切なことは「正しい」かどうかではなく、聞いている人が「楽しい」かどうか、親自身が「楽しく生きている」かどうかです。