家族の絆づくり 144
三つのホルモンの分泌で幸せ実現

ナビゲーター:阿部 美樹

生理的充足による「エンドルフィン」
 人間が幸せを感じる時は、主に三種類のホルモンが分泌されます。

 第一のホルモンは、「エンドルフィン」です。
 エンドルフィンとは、食欲や性欲、睡眠欲など生理的な欲求が充足された時、軽い運動をしたり、深呼吸をしたり、入浴したり、好きなことをしてよく笑う時などに分泌されるホルモンです。

 エンドルフィンの特徴は、モルヒネが摂取されたときのような多幸感を与えられるので、「体内性モルヒネ」「脳内麻薬」と呼ばれることもあります。

報酬系の「ドーパミン」
 第二のホルモンは、「ドーパミン」です。

 スポーツや勉強など困難な目標が達成された時、快感という報酬が得られます。

 ドーパミンは、そのような快感という報酬から意欲をつくるホルモンです。時間を忘れて好きなことを勉強したり、ゲームに没頭したり、より良い記録を目指して努力したりできるのは、物事を達成した時にドーパミンが快楽という報酬を与えてくれるおかげなのです。

 何かに成功したり褒められたり感動したりすると、「気持ちいい」「うれしい」といった感情とともに、ドーパミンが分泌されて快感を得ることができることから、その快感という報酬を繰り返し得ようとする意欲が生まれます。

 ドーパミンの分泌には快感が伴うため、ある意味で依存性や中毒性があります。ドーパミンが分泌された過去の経験を記憶して、それを繰り返し行いたいという強い衝動が生まれるのです。

幸せ・愛情ホルモンの「オキシトシン」
 第三のホルモンは、「オキシトシン」です。
 人と触れ合って幸せになると分泌されるので、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」「絆ホルモン」ともいわれます。

 異性同性にかかわらず、背中をさすったりなでたりしてスキンシップをとるとオキシトシンが分泌されます。一番良いのは妻・夫やパートナーとボディータッチを取り入れて仲良くすると、たくさん分泌されます。

 年齢は関係ないので、寝る時に抱きしめ合ったり、手をつないだり、肩をもんだりするなど、スキンシップを増やしてみましょう。

 子供がいる人は子供とハグすること、犬や猫などの哺乳類と触れ合うのも有効です。見るだけではなく触れ合う方が良いのです。

三つのホルモンをバランス良く
 このように、家族同士が一つにつながろうとする触れ合いという健全な愛着行動は、安らぎという精神的な安定を生み出します。興奮という快感というよりも、安らぎという幸福感を与えてくれます。

 これらの三つのホルモンがバランス良く充足されることが大切です。
 特に愛情ホルモンである「オキシトシン」が不足すると、生理的な欲求を充足させる「エンドルフィン」に偏ったり、中毒性や依存性のある「ドーパミン」に偏ったりすることもあります。