2020.11.21 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第16回 勉強しない子供に対してどのように接したらよいでしょうか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回の質問は、「勉強しない子供に対してどのように接したらよいでしょうか?」という質問です。
勉強しない子供に対して、叱ったり、説教したりしながら勉強を教えようとしても、かえって反発し、聞く耳を持たない場合が多くあります。
勉強をしないのは、「勉強すべき」ということを知らないからではなく、「勉強したい」という意欲が湧かないからです。
教育は、「教え育む」と書くので、「教えなければ育たない」「教えなければ指導したと言えない」と考えがちです。
ですから、親や先生、指導者などのように人の上に立つと、いわゆる「教えたがり病」にかかりやすいものです。
相手が習いたいと求める気持ちがあるときには教えることが有効ですが、本人に意欲がなく、習いたくもないのに教えるのであれば、相手を駄目にすることもあるのです。
文部科学省が実施している全国学力テストで、毎年トップクラスの成績を収め、「学力日本一の村」として注目を浴びている地域があります。
「秋田県東成瀬村」という、人口2500人余りで秋田県内でも2番目に小さな村です。
「地域づくりは人づくり、人づくりは教育」という考え方で、村の予算の約1割は教育に充てられています。
この村では、指導法を研究し続ける中でたどり着いた独自の「探求型授業」があります。
それは、先生が一方的に話し続ける内容を黙々とノートに取るという受け身の授業ではなく、子供たちが課題について自分で考え、答えを導き出すことに重きを置く授業です。
授業ごとに設けられた課題を皆で議論しながら理解していく仕組みなのです。
また、家庭で自学自習を行うための「自学ノート」というものがあり、各自が何をどのように取り組むかを自分自身で決め、学習の最後にはその日の勉強を振り返ります。
学んだ内容を自分で意識することで、自分の弱点を知り、克服することができます。
担任の先生は毎日その「自学ノート」を確認し、それぞれの学習に応じたコメントをして本人に返却する形でサポートをします。
このように、自ら学ぶ姿勢を育む自主性を重んじる教育方針です。それを教育者がサポートする体制なのです。
学校教育だけでなく、家庭学習でも参考にすべきではないでしょうか。
この事例からも分かるように、答えは一方的に教えられるよりも、自分で探し求める方がより「成長」につながるようです。
このことは、学校の勉強だけでなく、人生における課題や問題を解決しようとする場合も当てはまるのではないでしょうか。
解決策は、誰かにただ教えてもらうよりも、自分から探し求めていく方が、心から納得した答えを得ることができます。
そのためには、親は子供に対して、先輩は後輩に対して、指導者は部下に対して、「答えを教える」よりも「答えを尋ねる」ことをもっと大切にすべきではないでしょうか。
答えを見いだせるように「承認と質問」を繰り返すことです。
上に立つ人は、自分の経験や知識に基づいて、教えようとします。無意識に「教えてあげた」という満足感を求めるからです。
教える側の満足ではなく、相手が満足することが大切です。
心からの納得と満足は、誰かからただ教えられただけで得られるのではなく、自分から求めて理解を深めた時にこそ得られるものです。
人生の主人公は、「本人」自身だからです。
家庭でも、親が一方的に教えようとせず、子供に尋ねて引き出すことが大切です。
そして、子供の考えを承認して、さらに尋ねることを繰り返すならば、前向きな心を育むことができると思います。
皆さんからの質問をお待ちしています。
また、お会いしましょう!