2020.10.31 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第13回 摂食障がいで苦しんでいます。解決方法はありますか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回の質問は、「摂食障がいで苦しんでいます。解決方法はありますか?」という質問です。
「摂食障がい」とは、食行動を中心にさまざまな問題が生じる病気です。食べようとしても食べられなくなる「神経性食欲不振症」は、一般的には「拒食症」と呼ばれています。反対に、食欲を抑えられずに食べ過ぎてしまう「神経性過食症」は、一般的には「過食症」と呼ばれています。
これらの病気は、食べた物を意識的に吐き出してしまう「過食嘔吐」、さらには「下剤乱用」の行動を起こすこともあります。また、摂食障がいとは別に、「偏食」なども、何らかの病気の症状である場合があります。いずれも男性よりも女性に多く、特に10代から20代と比較的若い年代の人がなりやすいといわれています。
単なる食欲や食行動の異常ではなく、体重に対する過剰なこだわり、自己評価への体重・体形の過剰な意識によって行うダイエットがきっかけで発症することが多いようです。
また、人間関係のトラブルなど、生活の中で自信を失うような場面や、ストレスを感じる状況に遭遇した時に発症することもあります。
いずれも心理的な原因が根底に存在していることが特徴です。
摂食障がいに悩む人は、自己肯定感が低く、ありのままの自分を受け入れることができない場合が多くあります。「~しなければならない」という価値観を変えることができずに、苦しんでいます。
例えば、「もっと頑張らないといけない」「これくらいのことはできないといけない」「親の期待に応えないといけない」など、自分なりの完璧主義の狭い価値観にがんじがらめになり、その生き方に限界がきた時に、摂食障がいという形で体がSOSを発していくものです。
自分を傷つけるほど食べ物を詰め込んだり、骨と皮になるまでガリガリに痩せてしまったりするというのは、心が助けを求めているからです。
「食べること、太ることが怖い」「何を食べたらよいか分からない」といった囚(とら)われは、「生きていくのが怖い」「どう生きたらよいのか分からない」という生きづらさにつながることもあるのです。
このような症状の背景にあるものは何であり、どうしたらよいのでしょうか。
摂食障がいは、食事の規則性やコントロール感を取り戻すことを目指しますが、症状だけを改善しても、根本的な価値観や考え方が変わらない限り、再発したり、アルコール依存・買い物依存など他の依存症に移行してしまったりする場合もあります。
摂食障がいは、「自己肯定感や自尊心の欠如」「孤独感」や「人間関係のストレス」など、その内面にこそ問題がある場合が多いものです。
ですから、周りの家族は、常識から判断して一方的にその人を否定するのではなく、まず一旦認めて受け入れることが大切です。
摂食障がいに対して、率直に話をしたり、人間関係での悩みや不安を吐露したりすることができる場が必要なのです。
摂食障がいの自助グループで、定期的に集まって自分の思いを語り合うミーティングを持つ場もあります。
互いに感想や意見は言わず、黙って相手の話を聴き、話し手はただその場で自分の胸の内を「手放す」ように語ります。
人の感情や行動を評価したり、要求したりせずに、「承認」すること、つまり「ありのままを受け入れる」ことこそ、生きづらさを克服する第一歩ではないでしょうか。
また、現実の受け止め方や考え方に働き掛けて心理的ストレスを軽減する「認知行動療法」、家族やパートナーなど自分自身にとって重要な他者との関係性に注目した「家族療法」などの心理療法が有効とされています。
基本的には外来での治療が基本となりますが、体重の減少が著しく生命の危険が迫っている場合や、重度の精神疾患を合併しているケースでは、入院治療が行われることもあります。
皆さんからの質問をお待ちしています。
また、お会いしましょう!