家族の絆づくり 130
関係性を深める「アサーション」

ナビゲーター:阿部 美樹

「アサーション」って何?
 「アサーション」という言葉を聞いたことがありますか?

 「アサーション」は、自分も相手も大切にしながら自己表現するコミュニケーションの方法です。

 語源となる「assertion」とは、「自己主張」という意味の単語で、相手と対等な立場に立って自己主張をするためのコミュニケーションのことです。しかし自分と相手双方を大切にするという、「円滑さ」に焦点を合わせた概念でもあります。

 夫婦や親子などの家族関係において、アサーションにのっとったコミュニケーションを行うことは重要です。
 「私はこう思う」「私はこんなふうに感じる」「私はあなたのこういうところに困っている」など、自分の気持ち、考えや欲求などを正直に率直に述べます。

 一方で、「あなたはどう思う?」「あなたはどう感じるの?」と、相手の気持ちや考えにも耳を傾け、理解しようとすることも大切です。

 アサーティブなコミュニケーションでは、自分の言いたいことを明確に述べるだけでなく、相手の話も聞いて理解するように努めます。

「違いを認め合う」コミュニケーション
 ここで重要なことは、「お互いの違いを認め合える人間関係」を築くことであり、「自分と相手の違いを当然のこととして受け入れる」ことです。

 血のつながっている親子であれ、愛し合っている夫婦であれ、人は一人一人違います。
 人は誰もが違った個性を持っています。同じ物を見ても感じ方が違い、同じ事を聞いても理解する観点が違います。違って当然ですが、お互いを尊重しながら話し合う必要性があります。

 アサーションスキルの基本は以下の4つに分類できます(DESC法)。

①客観的に事実を伝える(Describe:描写する)
②自分の意見や感情を伝える(Explain:説明する)
③相手の求めているものを解決策として提案する(Suggest:提案する)
④提案の実行/実行による結果を伝えるChoose:選択する)

 このようなスキルも参考にしながら、違いをどう認め合い共有できるかを考えてコミュニケーションを深めてみましょう。