家族の絆づくり 127
「立ち位置」で人生が劇的に変化する!

ナビゲーター:阿部 美樹

「視界の広さ」と「情の深さ」を持った人格者
 人格的に未熟な人と成熟した人の大きな違いは「視界の広さ」と「情の深さ」です。

 幼い子供は、「自分の願い」「自分の思い」「自分の好き嫌い」を中心とした言動が多いように、「自分の視点」で生きています。
 しかし成長する中で、同じものを見たり聞いたりしても、周りの人の反応が違うことを発見するようになります。

 「自分と違う考えを持っている」「自分と違う感覚を持っている」という違いの発見です。

 その時、違いのギャップに対して葛藤することがありますが、その解決の道は「相手の視点」に立って見つめ、感じてみることです。すると違った景色が見えたり、違った感情を感じたりすることでしょう。

 自分の視点にこだわり過ぎる人は人間関係に悩んだり、周りの人を悩ませたりします。まさにそれは「自己中心の生き方」であり、自分の利益を優先する「利己的な生き方」だからです。

 一方、相手の視点に立つことを心掛ける人は、人間関係も良好になる傾向があります。自分の利益よりも相手の利益に配慮する「利他的な生き方」だからです。しかし「利他主義」では最善の生き方ではないようです。利他主義に対して、次のような文鮮明先生のみ言(教え)があります。

 「個人主義思想はあり得ません。自体自覚から、自分に利益になるようにしようという思想を中心としてエバが天使長と一つになったため、その道を否定しなければなりません。今までは『他為(利他)』思想について語りましたが、これからは『他為』ではありません。『他我主義』(他人と私は一つであると考える主義)思想を語らなければなりません」(天一国経典『天聖経』446ページ)

四つの視点を持つ生き方
 このように、「私を中心に」ではなく、「相手を中心に」でもなく、「相手が私」という「他我主義」こそ、大切な捉え方のようです。

 それでは、どのように心掛けるべきでしょうか。
 それは、「自分の視点」でも「相手の視点」でもなく、「第三者の視点」に立つ必要があるということです。客観的に冷静に分析することができると同時に、「私たちの視点」を持つようになります。このような「自分と相手と第三者」の三つの視点を持つ人は視界が広く、バランスの取れた人格者だと言うことができます。

 しかしこれでも不十分です。
 実は、「第四者の視点」が必要なのです。

 それは、「天の父母様(神様)」の視点です。神の視点や立場から見つめて、神がどのような願いを持っているのか、どのようなみ意(こころ)があるのか、どのような心情なのかを深めていくものです。

 すると、「新たな気付きを得る」「腑(ふ)に落ちる」など、情的な納得をすることができるようになります。
 「親の心情圏」に立ち返ることができたら、「孝情」を中心とした心情的生活ができることでしょう。これは、常に「神の立場に立って生きる」という信仰生活の最も大切な心掛けでもあります。

 一つ一つの出来事に対して、「自分の視点」「相手の視点」「第三者の視点」、さらには「神の視点」があることを意識しましょう。