2020.06.24 17:00
家族の絆づくり 121
コロナ禍で与えられた「三つの教訓」
ナビゲーター:阿部 美樹
豊かさを求めた消費活動に警鐘
新型コロナウイルスが世界中に感染し、多くの死者、重傷者を出しています。
新型コロナウイルスは、他のウイルスと違い、感染した100%の人が発症するのではなく、感染しているけれども発症しない人が存在し、より多くの人に感染が広がるという厄介な特徴を持っています。それ故、簡単には終息させることができず、世界的危機を招来していると言えるのです。
このウイルスの出現を通して、私たち人類は何を悟り心掛けるべきでしょうか?
三つの観点で考えてみたいと思います。
第一は、環境汚染を防ぎ、地球環境を奇麗にして肺を守らなければならないということです。
このウイルスは肺の肺胞細胞に感染します。肺は呼吸という生命活動に欠かせない臓器です。肺胞細胞は、たばこや環境汚染物質によって徐々に壊されていきます。死んだ肺胞は復活しませんから、肺に負担をかけるような生き方や地球環境の汚染を止めなければなりません。
経済成長とともに、工場など生産活動を行う際にばい煙など大気汚染物質が排出されています。また物流や人流など自動車の使用や人間の消費活動によって二酸化炭素など大気汚染物質が排出されています。この大気汚染物質は、自然の浄化作用を超える量が排出され、生態系を破壊し、人間の健康にも深刻な被害を与えようとしています。
利他主義こそ自分の幸せをもたらす
第二は、免疫力を強化し、自ら治癒できる可能性を広げることが必要だということです。
私たちの周りにさまざまなウイルスが存在していても、免疫力がしっかり備わっていれば基本的には罹患(りかん)することはありません。
外出の際にはマスクをつけ、小まめに手洗い・うがいを行うと共に、体を冷やさないように室内を温める、お風呂にゆっくり浸かることも有効です。
しょうゆや納豆といった発酵食品は免疫力に関する腸内細菌を整えてくれます。さらにキノコ類も免疫力を高めます。また果物や生野菜などビタミンが多く含まれる食材を食べること、生活習慣として深呼吸(腹式呼吸)をして肺の換気をすることも有効です。
第三は、国や民族を超えた人類全体の協力体制が必要だということです。
情報収集と分析、医療資源の配送、ワクチン生産設備の整理、抗ウイルス剤の開発と流通ルートの確保など、地球規模で互いに助け合う連携が不可欠です。
深刻な危機に直面した今こそ「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返ることが必要ではないでしょうか。
競争による一国繁栄主義ではなく、利他主義に基づく人類一家族世界という意識を持つべき時を迎えました。
この危機は新しい世界がつくられていく変革のチャンスであると見ることができます。他の国々が感染していないことが自国の利益になるように、他の人を思いやることが自分の幸せをもたらすと理解する必要があります。利他主義に基づく協力と共感が人類を救う鍵です。