家族の絆づくり 122
「やらされる人」と「喜んでやる人」の違い

ナビゲーター:阿部 美樹

同じ行動でも動機は違う
 同じ行動でも、それを行う動機は人それぞれ千差万別です。仕事においても、家庭生活においても「仕方なく我慢してやる人」もいれば、「納得して前向きにやる人」もいます。さらには「喜んで楽しんでやる人」や「周りの人を喜ばせたい・楽しませたいという思いでやる人」もいることでしょう。

 その行動の成果が、「仕方なく」「やらされて」行うよりも「自ら進んで」「喜んで」行う方が大きいのは当然です。
 前者は「対象的意識」による行動であり、喜びよりも悩みが絶えないという場合があります。やるべき目標だけ一方的に与えられて、「やらなければならない」という義務感で心が圧迫されているからです。

 一方、後者は「主体的意識」「主人意識」による行動であり、環境に振り回されず意欲と前向きさを持ち続けているように思います。

 皆さんの職場での仕事をする姿勢、家庭での家事や育児をする姿勢、教会での奉仕や伝道活動をする姿勢など、どのような動機を持って行っているか再確認してみましょう。

目指したい目的と目標を持つ
 では、「対象的意識の人」と「主体的意識の人」の違いは何でしょうか?

 それは「目指す目的と目標」を立てているかどうかです。
 人間は納得する目的・目標があれば、誰かに指示されなくても勝手に心と体が動き出すものです。

 まず目的を見いだすためには、「自分は何のために生まれたのか?」「誰のために生き、誰のために働くのか?」「自分の個性を何に生かしたらやりがい・生きがいを感じるのか?」という問いに真剣に向き合うことが大切です。

 誰かと比較して、誰かと競争して人生の幸・不幸を決定するのではなく、唯一無二の個性を持った自分自身に対する役割を発見すること、使命(ミッション)を探し出すことこそ、幸せをつかむ秘訣です。

 発展する企業などの組織団体でも、活動の目的を定めた「ミッションステートメント」を定めています。一人一人がミッションステートメントを自分のものとして自覚した分だけ自発的に生き生きと活動しているように思います。

 「ナンバーワンよりもオンリーワン」という言葉のように、天から頂いた個性の生かし方を見いだすことが大切です。
 本質的な喜びは、与えられた時よりも、誰かの役に立った時の方が大きいからです。天から与えられた天稟(てんぴん)や個性は皆違うけれども、それぞれ尊重し合い、生かし合いながら、隣り人や地域社会に貢献することができたら、さらに成長・発展していきます。

 目標を見いだすことが必要ですが、目標と聞くと「ノルマ」のように感じて苦しくなってしまう人がいます。しかしここで強調したい目標はそのような意味での目標ではなく、「目指したいビジョン(夢)」を持つことです。
 目指したいゴールであり、「こうなりたい」「こうしたい」という願望としての青写真です。
 「なれるか、なれないか」という能力の枠で考えるのではなく、純粋に喜びを求めて「なりたいこと、したいこと」を思い描くことです。

 このようなビジョンが明確になれば、段階別の目標や行動計画、戦略などの取り組みが有効になります。

 人生に悩んでいる人は目的を見失い、目標が曖昧になっているので、前に進めません。車の運転でいうならば、「何のために、どこに行くのか」が明確になるから前に進むことができるということです。