家族の絆づくり 120
あなたの人生の危機管理・リスク管理は?

ナビゲーター:阿部 美樹

人生の「想定外」に対する備え
 東日本大震災など、度重なる自然災害、さらには新型コロナウイルス感染症が世界的に流行するなど、さまざまな危機を迎えた時に「想定外」という言葉を使います。想定を超えた事態ということですが、国家や企業をはじめとするあらゆる組織にとって、「危機管理・リスク管理」はその存続に関わる重大な要件です。

 同じように、私たちの人生においても同じことがいえます。病気になった時、事故に遭った時、火災に遭った時、大地震の時、家族や親族に災難があった時、仕事がうまくいかない時、人間関係のトラブルになった時などを想定した対処方法を考えたり、必要な準備をしたりすることが重要です。

 ところで、「危機」と「リスク」とは似たような表現ですが意味が違います。「危機」は現実に発生してしまった危険や異常事態のことで、「リスク」は近い将来起こり得る危険や異常事態のことです。

 人生においても危機やリスクがあります。人生の最善の状態を想定するだけでなく、最悪の状態も想定することが大切です。
 将来の希望的な夢を描くことも必要ですが、それしか考えていない場合、大きな試練や挫折があると落胆したり、立ち上がることのできないほどのダメージを受けたりすることがあります。人生においても想定外の事態に直面することがあるのです。

 この想定外の事態を避ける方法はただ一つです。自分の想像力をフルに働かせて、常に最悪の事態を想定して事前に手を打つことです。

危機にも動じない「平常心」を保つ
 ビジネスでも防災でもそのことを常に根底に据えていないと、いざという場合に大変な事態を招きかねません。

 人生は計画どおりにいかないトラブルが多くあります。
 計算違いの事態に対してどのように対処するか、何を選択するか、何を優先するかなど、あらゆるシミュレーションを描くことが必要です。

 特に、今までやったことがないこと、苦手なこと、難しいことに挑戦する時などは、当然、最善と最悪を考えるべきです。さらに、生死に関わるような危険を伴う場合や失敗した場合のリスクが大きい場合はなおさらです。

 どのような厳しい状況に直面しようとも、決してうろたえることなく「平常心」を維持し続けることが危機管理の鉄則です。

 その平常心を保つためには、危機に直面した時の対処方法のシミュレーションをするだけでなく、祈りや瞑想などを通じてメンタル面の強さを養い、ブレることのない軸を持った人になることが必要です。

 危機に動じない平常心を維持できる人の特徴は、多くの苦労を経験した人、さまざまな修羅場を乗り越えた人でもあります。ですから、「人生の苦労」は危機を乗り越える武器になり、財産になるといえます。