家族の絆づくり 114
やる気と意欲を高める会話

ナビゲーター:阿部 美樹

頭で分かってもなぜか意欲が高まらない

 目標を実現するために必要なものは何でしょうか?
 問題を深く考察する「分析力」でしょうか?
 専門的かつ幅広い「知識」でしょうか?
 人間関係をうまくやる「コミュニケーション力」でしょうか?
 多くの教訓を積み重ねた「経験」でしょうか?…

 いろいろな能力があれば、それに越したことはありません。しかし試練を乗り越え、目標や願いを実現するためには、「意欲」が大変重要です。意欲が高まると、自主性や責任感、創造性や問題解決力、さらには継続する力までも高まります。

 課題や問題に直面すると、「どうして、このような問題が起きたのか?」「何が問題だったのか?」「何が悪かったのか?」と、原因や課題の分析を始めることが多いものです。そうなると、自分の欠点や悪いところを発見し、反省し、改善するように努力をすることでしょう。

 しかし問題や原因が解明されて、「それは正しい」と頭で理解できたとしても、意外にも「意欲」はあまり高まらないものです。課題克服の必要性を頭で理解しても、「できるだろうか?」という不安、「できない場合は周りから責められるかもしれない」という恐れなどが無意識に湧いてきます。

 人は誰もが無意識に「安心・安全」を守ろうとして、不安や恐れを避けようとするからです。例えば、「氏族伝道をするべきだ」と頭では分かっていても、氏族から反対された経験に基づいて不安や恐れが湧いてくるので、なかなか行動に移すことができない場合が多くあります。

「課題の明確化」よりも「目標の明確化」

 意欲を高めるためには課題を明確にするよりも「目標・願いを明確化」することが大切です。

 「目標を達成した喜び」「成功した歓喜の充実感」「愛が結ばれた幸福感」を心に鮮やかにイメージできた時こそ、前向きな意欲が高まります。まさに、「喜び」と「意欲」は表裏一体だからです。

 相手を幸せにするためには、課題の明確化よりも、目標の明確化ができるように会話すべきです。そのためには「幸せな未来を予測してもらう質問」が大切になります。

 目標が実現された時の情景をイメージできるような質問をすれば、心がワクワクするような目標を持てることでしょう。そのような目標を見いだすことができれば、「やらなければならない」ではなく「やりたい!」という心になります。

 さらにその目標が、本人だけでなく、周りの人も、神様も喜ばれるものであれば、自信と誇りをもった生き方となることでしょう。