2020.03.25 17:00
家族の絆づくり 107
会話で「言葉」が通じるとは限らない
ナビゲーター:阿部 美樹
言ったことが伝わらない謎
「夕食を買って来て」と言われて食べたいものを買って帰ると、「どうして、こんなの買って来たの?」と言われた経験はないでしょうか?
「夕食」という言葉でも、依頼した人と買ってきた人との認識のズレがあったということです。
「言葉」として表現される背後には、人それぞれの「イメージ」と「体験」があります。ですから、言葉ではほんの一部しか表現できず、情報が「省略」されています。それによって思いが伝わらなかったり、誤解が生じたりします。
「昨日、〇〇公園に行って来た」と聞いて、「それは良かったね」と答えたとしましょう。
公園と聞いて、過去の楽しかった思い出がイメージされて「良かったね」と表現したわけですが、相手は、悩みを抱えて公園に行ったかもしれないし、全然楽しくなかったかもしれません。
このように、受け取る側の捉え方もさまざまです。ですから、コミュニケーションの成果は、どんなに詳しく伝えたとしても、「相手が受け取った量」がコミュニケーションの成果なのです。
人それぞれ違った「価値観のフィルター」
私たちはそれぞれ自分のフィルターを通して世の中を見ています。同じ本を読んだとしても、読書感想文の内容は十人十色であるように、それぞれ違った「価値観のフィルター」で物事を見ていることが分かります。
また、「みんなが私をバカにしている」「いつも、駄目なんです」と表現することがあります。
「みんなが」「いつも」「何でも」と、「一般化」して話していても、よく聞いてみると、一つのサンプルをあたかも全てのように表現する場合があります。
このような表現の場合、相手に同意を求めていたり、自分に自信がないことが影響していたりすることがあります。
このように、コミュニケーションは情報が省略されたり、事実が歪んで伝わったり、抽象化されて伝えたいことが伝わらないということがあります。
お互いの間で失われた情報を取り戻す手段が「質問」と「確認」です。
会話上手になるためには、質問と確認を心掛けることが必要です。そうすれば、話し手が伝えたい内容と聞き手が受け取った内容を一致させることができます。