2020.03.11 17:00
家族の絆づくり 107
全盲のヨットマンが見せてくれた無限の可能性
ナビゲーター:阿部 美樹
1万3千キロの航海に成功
「全盲のハンディ」を乗り越えて「ヨットによる太平洋横断に成功」という奇跡の偉業を成し遂げたかたがいます。
弱視で生まれ、16歳で完全に見えなくなった岩本光弘さんは、アメリカを出発して55日間、1万3千キロをノンストップで航海し、2019年4月に日本にたどり着きました。
35歳でヨットを始め、2006年には世界障害者セーリング大会に日本代表で出場し、2012年にはアメリカからメキシコまで200キロの航海に成功します。
その後、「太平洋を渡りたい」という夢に挑戦しますが、6日目に鯨と衝突しヨットは沈んでしまいます。
救命筏(いかだ)に移り11時間漂流して、死との背中合わせの中、陸上自衛隊の飛行機で救助されました。
それでも諦めず、もう一度挑戦するため、トライアスロンでフルマラソンを完走するなどの訓練を繰り返し、遂にはヨットによる無寄港太平洋横断を成し遂げました。
絶望の底からの大転換
自分を信じて目標を立て、それに向かう不屈の精神力を持つ岩本さんですが、意外な過去がありました。
全盲になり、人生なんて耐えられないと思い、橋から海に身を投げようとしました。その時、不思議にも亡くなった伯父の声が聞こえました。「死ぬんじゃない!」と。
「世間には、目が開いていても何のために生きているのか分からないような人が多い。目に見えないおまえが努力して、チャレンジし続ける姿を見ればきっと勇気づけられる」と諭された気がしました。
その時から、見えないことを「プラスに受け止める人生」に転換することができました。自殺を図った時、太平洋横断中に鯨と衝突した時、二度にわたる死の危機を乗り越え、今は「第三の命」を生かされているといいます。
今は、困難や苦難や試練に直面している人たちに、その先には必ず感動があること、それを乗り越えてこそ味わえる感動が待っていることを伝える活動をしています。
「命懸けで誰かのために生きること」「無限の可能性を信じること」の大切さを教えられます。
統一思想では、「人間は神に似せて造られたから、人間も愛を通じて喜びを得ようとする情的な衝動を持っている」(『統一思想要綱』「原相論」)と説明しているように、人間は、為に生きる時に最大の能力を発揮することができるのです。