家族の絆づくり 105
無条件の許しが人生を変える!

ナビゲーター:阿部 美樹

「ヤクザ」から「牧師」へ大転換

 どんなに苦しくつらい経験をしたとしても、「無駄なことは一つもない。全ては益になるんだ」と受け入れた瞬間から、人生は変わるのではないでしょうか。

 NPO法人「人生やり直し道場」(平成21年創立)は、借金や薬物、法的な行き詰まりや家庭内のもめ事など、さまざまな相談に専門家のかたがたの協力を得ながら応じています。

 同NPO法人を設立した鈴木啓之理事長は、平成26年には「平成駆け込み寺」を開設して同様の活動を行っています。

 彼は、高校中退後、ヤクザの世界に身を投じて、刑務所に二度入り、小指は二本ともなく、上半身は入れ墨で覆われています。そして、賭博で多額の借金を抱えて逃亡し殺されそうになります。
 その後、劇的な回心を成し遂げ、神学を学び牧師になった波乱万丈の人生でした。

 逃亡の末、心身共にボロボロになった時、目の前にあったのが24時間開いているキリスト教会でした。

 礼拝に参加してみると、「神はあなたを愛すべき存在であると聖書を通して教えてくださっている。だから大丈夫です。やり直せます!」という説教を聞いて、気付いた時には多くの聴衆の前で「助けてくれ」と泣きながら手を挙げていました。

 その日から牧師に促されて「私は罪人です。こんな自分でも許されるなら助けてください」と懸命に祈ると、ものの見方が変化し、心が浄化され聖化されていきました。

「やり直したい!」と思った瞬間

 「お前には、行かなければならない所があるのではないか」と、心の中で湧き上がる神の声を聞き、「長い間会っていない、妻と子供のいる大阪に行って会うことだ」と思い、向かいました。

 家の前で何度もちゅうちょしながら電話をした時、妻が出て「あんたじゃないの? いつまでも待っているから、帰って来て!」と言ってくれました。

 家に帰ると、まるで昨日出て行った人のように迎えてくれました。責めることなく、過去を問わず受け止める妻の言葉と姿勢を通して、「やり直せるならやり直したい!」と本気で思った瞬間でした。その後、彼の人生は大転換して牧師になり、人助けの人生を歩むようになります。

 人は「無条件に許される」ことや「無条件に受け入れられる」ことを通じて変化します。