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スマホで立ち読み Vol.2〈最終回〉
『よくわかる勝共理論』(14)
神に反発し、復讐を誓う

 「ほぼ5勝共」でおなじみの中村学氏の『よくわかる勝共理論~日本と世界の平和のために』。混迷する時代の今だからこそ、しっかりと読んでおきたい一冊。
 すでに読んだよというかたも、まだ読んだことがない、知らなかったというかたも、みんな立ち読みオーケーです。

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中村 学・著

(光言社刊『よくわかる勝共理論』より)

第二章
マルクスの動機

神に反発し、復讐を誓う
 マルクスは十九歳のとき、「絶望者の祈り」という詩を書きました。これを読むと、彼の核心的な部分が見えてきます。少し長いですが、全文を紹介しましょう。

 「神が俺に、運命の呪いと軛(くびき)だけを残して
 何から何まで取り上げて、
 神の世界はみんな、みんな、なくなっても、
 まだ一つだけ残っている、それは復讐だ!
 俺は自分自身に向かって堂々と復讐したい。

 高いところに君臨してゐ(い)るあの者に復讐したい、
 俺の力が、弱さのつぎはぎ細工であるにしろ、
 俺の善そのものが報いられないにしろ、それが何だ!

 一つの国を俺は樹(た)てたいんだ、
 その頂きは冷たくて巨大だ
 その砦(とりで)は超人的なもの凄さだ、
 その指揮官は陰鬱(いんうつ)な苦悩だ!

 健やかな目で下を見下ろす人間は
 死人のように蒼(あお)ざめて黙って後ずさりをするがいい、
 盲目な死の息につかまれて
 墓は自分の幸福を、自分で埋葬するがいい。

 高い、氷の家から
 至高者の電光がつんざき出て
 俺の壁や部屋を砕いても
 懲りずに、頑張って又立て直すんだ」
(改造社版『マルクス・エンゲルス全集』第二十六巻)

 マルクスはかつて詩人を目指していました。ですから内容がストレートに伝わらないよう、わざと情緒的な表現を使うことがよくありました。これを日本語に訳すとさらに解読が難しくなります。この詩もそうした面があると思いますが、あえて私なりに最初の段落を解釈すると、次のようになると思います。

 神が俺に与えた人生は、呪われた運命でしかなかった
 楽しいこと、うれしいことは何もなかった
 温かい家族、心の通じ合う友人、そして恋人

 すべてが取り上げられた
 俺は神が許せない
 神の世界はみんな、みんな、なくしてやる
 みんな、みんな、破壊してやる
 しかしその願いが実現しても、俺はまだ満足しない
 ある思いが絶対に消えずに残る
 それは神への復讐だ!
 神への復讐を果たすまで、俺は絶対に諦めない
 俺は自分自身に向かって誓う
 堂々と神に復讐する

 こうしてマルクスは、自らの人生を神の復讐にかけると決心しました。共産主義は神の存在を否定する思想ですが、彼は決して「神は存在しない」とは思っていなかったのです。むしろ生涯をかけて復讐したいと思うほどに、神をリアルに信じていました。そして彼の思想が広がったことで、世界では神を否定する人が増えました。日本でもそうです。なんとも皮肉な話です。

〔第二章のポイント〕
●マルクスは不遇な人生の中で、神と社会を強烈に怨むようになった。
●マルクスが怨みを動機として書いたのが共産主義である。
●マルクスの目的は、暴力革命の正当化にあった。
●共産主義は神を否定する思想だが、マルクスは神を信じていた。

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 「スマホで立ち読み」での連載は、今回が最終回となります。ご愛読ありがとうございます。続きは、ぜひ書籍でご覧ください。


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